悪魔な執事
現実世界で目を覚ましたエルピオンは顔をのぞかせるハルルカの顔を見つめる。
「ルカ…おはよう」
微笑むエルピオンの顔を見たハルルカは大粒の涙が零れ落ちる。
「良かった…良かったよ…!エル!!」
エルピオンが目を覚まさないことに不安を抱いていたハルルカは泣きじゃくりながらエルピオンを見つめる。ハルルカの大人びていた様子から一変して子供のようになる。そっとエルピオンが目を覚ますのを待っていてくれた純白のドラゴンにエルピオンは手を伸ばす。ドラゴンはそのことに気づいて首を伸ばす。
エルピオンに撫でられるドラゴンはなんだか嬉しそうにしている。
「驚いたよ。まさか火山龍の長にお会いになれるとはね」
「火山龍ッ?!」
アーテルスは初めて見る火山龍の長の姿を目に焼きつける。
「違うよ…ただの火山龍の長じゃないよ。ね?師匠」
ドラゴンを撫で回すエルピオンは静かにそういう。その事に驚くダンゲルはドラゴンを見つめる。ドラゴンは笑ったかのように息を吐くと体を小さくする。するとドラゴンでは無く、シュンサクの姿が目に入る。
「おや、これは驚いたな」
「エル、なんで俺だってわかったんだ?」
「師匠なら私が危ない時、必ず助けに来てくれるからだよ」
エルピオンは子供のように無邪気に笑う。その姿を見てシュンサクは安心する。
「ところでさ、ルピの剣…黒くなってるけど大丈夫なの?」
ネールは心配するようにエルピオンに訊く。エルピオンは今気づいたかのように剣を見続ける。
「この黒さ…昔お前が持ってた黒刀に似ているな」
「そうだね。でも今少し記憶が曖昧なんだよね。どうやって魔物を倒したのか。だからと言って、思い出したからってどうとか無いけどね」
エルピオンは笑顔で言う。その笑顔はエルピオンの中で何かが吹っ切れたかのよう。
するとエルピオンの持っている黒い剣が動き出す。
「えっ?!なになになに?!」
エルピオンの手を離れた剣は誰かが動かしているかのように動き続けている。突然の事でエルピオンたちは警戒する。
剣は弾けるかのように白く光り、その場に執事の服を着た若い男が跪いている。
「お初にお目にかかります。本日からエルピオン様の執事となりました…エデルと申します。以後、お見知り置きを」
『エ、エルの…!執事ぃぃぃぃぃ〜〜〜〜?!』
全員驚きのあまり大声を出す。美しく整った顔、美しい銀髪を後ろで結んだその姿。美しさとイケメンが重なったその姿にエルピオンは何を言えばいいのか分からない。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ついにエデルが登場!エルピオンのために精一杯働くとても強い者。彼の応援もよろしくお願いします!
次回もお楽しみに




