次の国へ
神父が死んだことによって、天空人教は閉めることになった。
「アーテレさん…私のこと、恨まないんですか?」
エルピオンの反応にアーテレは笑顔を向ける。
「恨みませんよ。エルピオンさんのおかげで私は開放されたんですから…」
アーテレは天空人である彼女の墓地に花を置く。成仏できるように、祈りを捧げながら。
「私は、彼が住んでいた国に向かいます。お世話になりました」
「お世話になったのはこっちの方だよ!」
エルピオンは慌ててアーテレに言う。しかし、アーテレは笑顔のまま。その様子に神父である父親に縛られていた彼女とは思えない笑顔だった。
「それと、もしよろしければ夜桜国へ向かってみたらどうですか?あの国はとある噂が存在します」
「噂ですか?」
「ええ、その国のどこかに神社がありそこで深夜二時に一人で訪れ、鳥居を潜り賽銭を入れて二拍手一礼をして帰る時、とある童歌を歌うと何かが起こると言うと言われています。もしかしたらその鏡によって起きているかもしれません」
「情報ありがとうございます…ぜひ行ってみます」
「皆さんに幸福があることを」
アーテレはエルピオン達に祈りを捧げる。エルピオンたちはすぐさま夜桜国へ向かう。しかし、場所がわからないせいでか街の人達に聞き込みをまた始める。
「それよりあんたたち!天空人教が終わったって言うじゃない?それをあんたたちが殲滅したって聞いたよ!ありがとうね!これ、りんご持っていきな!」
エルピオンはカゴに沢山入ったりんごを貰う。こんなたくさん貰っても食べ切れるか分からない。
「あ、ありがとうございます…」
エルピオンは全員と待ち合わせ場所にしている出入口まで向かう。すると全員が何かしら物を持ち合わせている。
「もしかして…それって」
「街の人たちから貰ったんだよ…」
「あの宗教を殲滅したらこうなるのかよ…」
全員の顔がどんよりしている。
「おーい!そこの旅人さんたち〜」
すると荷馬車を使って男の人がやってくる。
「影の馬じゃないか!親父さん…あんた何もんだよ!」
「なんだ…こいつの正体を知ってるのか?珍しいやつだな」
影の馬とはとても気性が荒く、人間なんて心を開かない闇の馬とも呼ばれている。全ての馬が黒毛で鋭い犬歯を持っており、肉食獣でもある。
そんな恐ろしい魔物を従えている彼がアーテルスは驚きに満ちる。
「こいつは俺の事を親だと思ってんだよ。こいつの母親は食べるものが無くなって…人里に降りてきてしまったんだよ。そのせいでかこいつの母親は死んだ。そしたら腹の中からこいつが出てきたんだよ。そんな時に俺が引き取ったんだよ。子供の時に一から面倒を見ればどんなに恐ろしいやつでもきっとわかると思ってな…そうしたら今じゃあこんな感じだよ…」
彼はそう笑って言う。彼の反応にエルピオンたちは唖然とする。
「そういえばお前たち夜桜国へ向かうんだろ?俺達も今その国に行こうとしていたところで、うちの嫁が『乗せてってやれ』て言ってきたからな。そういえば、俺の名前言ってなかったな。俺はガン。こいつはヌクルだ」
ヌクルは鼻息を荒くする。返事をしているように思える。
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