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正体

 翌朝、神父に黒いウェディングドレスを着た女性が現れなかったと伝えると神父は驚いた反応を見せる。


「え?現れなかった?!」


「そうなんですよ…出ない理由でもあるんでしょうか?」


「分からない。今まで出なかった日は無かった…まるで君たちが来ているのをわかっていたみたいだな」


「解決することが出来なかったので…私たちは別の国に行きます…お世話になりました」


「いえいえ。お気をつけて」


 エルピオンたちは神父に別れを告げ、協会を出ていく。その様子を物陰から誰かが物色している。エルピオンたちが去っていく所を見てその者は笑顔になる。


 ◆❖◇◇❖◆


 その日の夜、その者は黒いウェディングドレスをクローゼットから取り出し、それを着て裏口から姿を見せる。そして墓地に向かい、蛍が入った小瓶の蓋を開ける。そしてゆっくりと墓地を歩く。


「やっぱり…あなただったんですね」


 その者は驚き、振り返る。それは帰ったはずのエルピオンたちであった。その者は驚き、逃げようとするが行先にアーテルスとウルファスが待ち構えている。

 その者は囲まれていることに気づき、地面に座り込む。


「なんで…こんなことをしているんですか?アーテレさん」


 月に照らされ顔を見せるアーテレ。彼女は諦めたようにため息を着く。


「父に…こんなことをする父に、諦めてもらいたかったのよ」


「こんなことって…宗教のことですか?」


「そうよ…天空人様の姿を見つけてから父は変わってしまった。私に優しかった父が、今では無視をされるほど…天空人のどこがいいのよ!」


 アーテレは怒りのあまり、地面を叩く。その様子にエルピオンたちは悲しそうに見つめる。


「本当なら…私は今頃彼と結婚しているはずだったの。それなのに、父が勝手に結婚相手を…!」


「その彼は…今は?」


「死んじゃった…自殺よ。崖から飛び降りて…だけどまだ遺体は見つかってないの」


「それなのに…どうして自殺だと…」


「彼の家から遺書があったの…『ごめんなさい』と一言だけね」


「お父さんと…離れる気は無いの?」


「何度も家を出たわ…だけど、その度に連れ戻されるの。まるで父には私が逃げる場所がわかってるみたいに…」


「もう、逃げられないんだ…」


「だから…天空人である彼女に扮して墓地を歩いているのよ…。そうすれば…もしかしたらこの宗教をやめてくれるかなって…」


「あの感じは…難しいぞ?」


「わかってるわ…だからもう諦めようと思うの。彼女に扮するのは今日で最後」


 アーテレは涙を零す。すると教会から大きな叫び声が響く。


「今のって?!」


「父の声です!」


「行くぞ!」


 エルピオンたちは急いで教会に戻る。教会に何が起きているのだろうか。早急に向かう。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

突然響いた神父の声…一体何があったのか…

次回お楽しみに

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