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きみとはなしができたなら

きみとはなしができたなら『未練』

作者: 三千

未練


懸命に、断ち切ったつもりだった。


✳︎ ✳︎ ✳︎


あなたはわたしを罵りながら、スマホの画面をタップして、そしてそのまま、予約したばかりの結婚式場を、あっさりと解約した。


ただ、あなたが先に「好きな人ができた」って言ったから。


怒りに任せて、同じことをやり返しただけ。


目には目を。それしか頭に思い浮かばなかった。


仕返しにやってはみたけれど、ぽつんと残ったものは、「これでおあいこ」という言葉だけ。


なんて、虚しい言葉だろう。


仕返しをして、やってやったと、どこか勝ち誇ったような気持ちになったのに。


身震いするほどの、満足を得られたというのに。


それなのに、いつまでも、なにもかもを許すことができない、わたしの弱さへと跳ね返る。


けれど。


やっぱり、わたしを傷つけた、あなたのことが許せない。


たとえ、わたしに似たひとと、結婚したのだという噂を、耳にしたとしても。


これは呪いであって決して未練なんかじゃない。


あなたが、あの時。


先に、別れてくれと言ったのだ。


想いとは、魚のように回遊し、永遠に帰着せず。


堂々巡りなのだなあ。


笑え。


わたしの中の、わたしへ


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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読いたしました。 「きみとはなしができたなら」このタイトルの「きみ」とは読み手のことかな。多かれ少なかれ、だれもが経験のある思いを綴られていますね。最後の「未練」が心にせまってきましたが…
[良い点]  本編。  短かったですが、内容は三千さんらしいものでした。  自分に正直になる。  とても大事なことですが、何かを傷つけ、何かを失う覚悟のようなものがいりますね。  仕返し。  良い結果…
[一言] やってやったという満足感と、その後にくる虚しさと喪失感。これぞ正にって感じですね... やり方は絶対に間違っているのに、冷静じゃないせいで普通ならしないような事もしてしまうというのが、こうい…
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