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学園七不思議  作者: シロ
第壱章 屋上に
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屋上に潜む霊

豪の過去の話から、亡くなった女子高生の霊がこの現象を起こしていると予想したメンバーは、フェンスを越えて地上を覗くことにした…。

実はレナは高所恐怖症であり、フェンスを超えるのは厳しいとのことだった。

豪は一番力があるので、持ち上げる役をやる。

真木は見たものを忘れない能力があるため、立候補してフェンスを超えることになった。

1人だと危ないということで、東貴も行くことになった。

明日香、豪、レナは2人に気をつけてと念を押した。

真木はいざって時は東貴が守ってくれるから大丈夫と言う。東貴は自信なさげに大丈夫と言う。

まずは東貴がフェンスを超える。

靴を脱ぎ、豪の肩に乗り、乗り越える。

フェンスは2.5メートルくらいあるため、降りる時が怖かった。なんとか着地し、足場を確認する。

東貴の足のサイズは27.5センチであり、その倍くらいの足場がある。

続いて真木が豪の肩に乗り、フェンスを乗り越え、東貴の肩を借りて着地した。

東貴は思う。

(これ俺どうやって戻ればいいんだ…?)

豪の顔をチラッと見ると、豪も同じことを考えているみたいだった。

とりあえずまずは下を見よう。そう思い、東貴は下を見る。

確かに、豪が言っていた辺りの位置に花が何輪か置いてある。

「確かに花置いてあるね。菊の花とかたんぽぽもあるぜ。」

東貴は真木に言う。

しかし、真木は東貴を見て驚いている。

東貴には見えない何かが真木に見えている?東貴はそう思いもう一度下を見たが、花が見える以外は特に何も見えない。

真木は平然と下を見ている東貴に声をかける。

「地面まで見えるの…?」

東貴はきょとんとしながら答える。

「え、見えるけど、真木はもしかして見えないの?」

真木はその言葉を聞いてなにかを思い出したようだった。そして呆れている。

明日香も察しているみたいだった。

東貴自身もハッとした。

あまり気にしていなかったが、これは自分にしか見えないのかもしれないと悟る。

この学園は3階+屋上の作りになっているため、普通なら視力が1.0あれば菊の花を見ることは可能である。

しかし、真木の目からは地面が遠くて見えていなかった。下を見ると、なぜか数百メートルは地面から離れているのだ。

これも心霊現象のせいなのだろうか。

真木は視力は悪くないが、すごくいいわけでもない。そのため、かろうじて花が置いてあるのがわかるくらいで、たんぽぽが置いてあることまでは認知できていなかった。

対して東貴の視力は3.0(学園で測れる限界)である。砂漠育ちなんじゃないかと疑うほど視力がいい。弓道が上手いのも、この視力のおかげでもある。

真木は思う。

こんなに近くにいたら肌の荒れとか見られそう…。

とにかく、ここは東貴に全て見てもらい、ここから出る手がかりを探してもらうしかない。

東貴もそれを悟り、地上を見直す。

東貴は花やその付近を見渡す。

菊の花が7本、たんぽぽが1輪一箇所に集まっている。ここで誰かが亡くなってしまったのだろうか。

花には夕日が差し込んでおり、辺りはオレンジ色になっている。おそらく夕方の時間帯なのだろう。

菊は大人が買ってきて置いたものに見えるが、たんぽぽは生えているものを摘んで持ってきたように見える。

東貴は豪に確認する。

「地上に菊の花7本とたんぽぽが1輪あるんだけど、覚えてる?」

豪は頭を抱える。そして、思い出したように答える。

「菊の花が何本あったかまでは覚えてないけど、名前忘れちゃった人から何か話を聞いて、家に帰る前にたんぽぽを摘んで、そこに置いた気がする。」

豪の記憶は途切れ途切れになっている。これもこの空間のせいなのか。そもそもここから出るのに必要な情報なのかもわからない。

他には何か情報がないか東貴が地上を見ていると、突然見えていた花が消えていく。

「え、花が消えていく」

全ての花が消え、オレンジ色が包んでいた辺りが明るくなっていく。時間帯が朝に変わっていっている。東貴は見落としがないか辺りを見回すが、花が消えて時間帯が朝に変わったこと以外は変わらなかった。

時間帯が変わってから数十秒経つと、3人組の女子高生が歩いて来た。なにやらこちらを気にしており、3人のうちの1人がこちらを指差している。

真木にもかろうじて見えているようだった。

「ねえ!!!」

下を見る東貴と真木にフェンスの向こうの明日香が声をかける。

東貴と真木は明日香を見ると、2人の左の方を指差している。そこには女性のサイズのローファーが置いてある。さっきまでは絶対に無かったはずだった。更に隣には裸足の女子高生が地面の方を見ながら立っている。色白で黒髪ロングだが、なぜか顔が見えない。

これは豪気絶するんじゃ…?4人は同時に思った。しかし、豪はその女子高生を見ても気絶していなかった。豪も気絶しない自分に驚いていた。

その女子高生は地面を見て恐怖したのか、回れ右して戻ろうとした。

しかしその時だった。女子高生の目の前に謎の腕が急に現れ、その女子高生を思い切り押し出した。

急な出来事にみんなが固まる。

女子高生は成すすべなく背中から落ちそうになる。

足が離れる一瞬前に女子高生は東貴の方を向いた。

東貴はその女子高生の顔が見えていないが、目があった気がした。

「た…け………さ…」

東貴が何かを感じ取った瞬間、東貴以外の時間が止まった。

「えっ、何が起きてるんだ…?」

東貴は困惑する。他4人が固まっていて、全く動かない。落ちそうになっている女子高生も足が離れて空中にいるが、止まっている。

「超常現象すぎてついていけないぞ…」

そう言いながらも東貴は迷うことなく落ちそうになる女子高生に手を伸ばした。

しかし、背中から落ちそうになっている人の腕を掴むのは難しかった。

申し訳なさもあるが、仕方なく東貴は片方の足を掴んで助けようと、自分も一緒に落ちないように体重をかけながら両手で掴んだ。

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