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学園七不思議  作者: シロ
第壱章 屋上に
5/10

豪の過去

目を覚ました豪が脱出のヒントになるかもしれないと真木は感じ、話を聞くことになった。

ーーーー7年前ーーーー

豪は鏡高学園の近くに住んでおり、小学校もすぐ近くにあった。

親は共働きで、学校が終わって家に帰っても誰もいない為、祖父が務めていた鏡高学園に遊びに行っていた。(学園公認)

その時期は小学校の運動会の練習が重なり、なかなか遊びに行けなかったが、久しぶりに時間が開き、

豪は祖父の元へ遊びに行く。


校門で生活指導の先生が立っているが、公認の為、挨拶すれば入れてもらえる。

でも今日はいなかった。

今までいない日は無かったので、疑問に思ったが、気にせず入る。


裏口入ってすぐのところに事務室がある為、いつも裏口に靴を置いて事務室に入る。

今日も裏口から入ると、その少し先の校長室にスーツの男が何人か入っていくのが見えていた。

気にせず事務室に入る。

「おじいちゃん!遊びに来たよ!」

事務室の扉を開け、元気よく声をあげた。

しかし、いつもこの時間にいるはずの祖父はいない。

おかしいなと思いつつも、祖父には1人でうろちょろしてはいけないと約束していた為、事務室で待っていることにした。

椅子に座って待っていると、5分くらいしたら祖父は事務室に来た。

「おじいちゃん!遊びに来たよ!」

豪は祖父を見て飛び付きながら言った。

この時、祖父は少し困った顔をしているような気がした。

「おお豪、運動会の練習は順調かい?」

ニコニコしながら祖父は色々お話を聞いてくれる。

豪も楽しくてたくさん喋ってしまう。

いつもは30分ほど相手をしてくれるんだけど、今日は何かあったみたいで、15分ほどしたらまた行かなくちゃいけないから今日は帰りなさいと言われた。

何かあったの?と聞くと、少しお仕事が忙しくなっちゃったんだよ。と言われた。

祖父を困らせたくなかったので、俺は頷いて帰ることにした。

祖父は事務室を出て校長室の方に向かっていた。

豪は裏口に向かい、自分の靴を履こうとした。

「あれ?右の靴が無い…」

たしかに一緒にここに置いていたはずなのに、無くなっている。

誰かが間違えて持って行っちゃったのかな?と辺りを見回すと、少し遠目に自分の靴を片方持った女子高生が学園の裏の方に歩いていくのが見えた。

「それ僕の靴だから返してー!」

大きな声で叫んだが、女子高生は振り向かない。

そしてそのまま学園の裏に行ってしまい、見えなくなってしまった。

豪は残った左の靴を履き、けんけんでその女子高生を追いかけた。

けんけんは小さい頃から得意だった為、苦じゃ無い。

豪はそのまま学園の裏に入っていく。

学園の裏に来た豪。

そこには女子高生の姿はなく、花束や水が入った瓶に入れられた花が複数あり、その前に靴がポツンと置いてある。

豪は不思議に思いつつも靴を拾って履いた。

祖父にうろちょろしてはいけないと言われていたのを思い出し、急いで帰ろうと振り返る。

「うわっ!!!」

振り向くとそこには女子高生が倒れていた。

豪はびっくりして尻餅をついてしまったが、すぐに立って女子高生に声をかける。

「お姉さんどうしたの?大丈夫?」

女子高生から返事は返ってこない。

子どもながらも緊急事態だと思い、祖父を呼びに行こうと走り出そうとしたその時。


ガ シ ッ


その女子高生は突然豪の足を掴んだ。

豪は掴まれた拍子にまた転ぶ。

顔についた土を落としながら起き上がるが、その女子高生は手を離さない。

「お姉さん大丈夫?」

声をかけても無反応。しかし、掴んでる手には力がこもっている。

そのせいで子どもの豪には振りほどけない。

女子高生が掴む力はだんだん強くなっていく。

「いたい…、足が痛いよお姉さん…!」

掴む力は緩まない。足がちぎれそうになる程痛い。

助けを呼ばなければこのままじゃまずいかもしれない。そう思い豪は大声で叫ぶ。

「誰かー!!!助けてー!!!」

豪は人一倍声が大きいため、学園の裏の森のカラスたちがびっくりして飛び去っていく。

「大丈夫!?」

誰かが来てくれた。

そのおかげか、その人が豪を見つけて駆け寄ると、足を掴んでいた女子高生の姿は消えていた。

豪は自分の足がちぎれていないか手を伸ばし確認する。

無事だった。しかし、足には大きな痣ができていた。痛みもすごく涙は流さなかったが、抑えてる手を離すことができない。

その人は痣を見て冷や汗をかいていた。

大丈夫?もう少ししたら君のおじいちゃんが来るからね。と優しく声をかけてくれた気がする。

その後すぐに、祖父が駆けつけてくれた。

豪は祖父に抱き抱えられ、保健室に連れて行ってもらった。


保健室の先生に足を見せ、消毒後に包帯を巻いてもらった。

その間に豪は祖父に女子高生について祖父に話をする。

「あのお姉さん、助けてあげた?足は痛かったけど、掴んでくる手はすごく冷たくてなんだか苦しそうだったよ。」

祖父は驚いていた。

なぜ驚いていたのかは分からなかった。

「あの子はね、ちゃんと成仏するように努力するからね…。」

祖父はとても寂しそうな顔をしていた。

あの女子高生は今思えば、なんらかの理由で亡くなった幽霊だったのかもしれない。しかし、成仏ができず、豪にちょっかいを出していたのかもしれない。

祖父はまだ仕事が残ってるからごめんねと言いながら、先程助けてくれた人と保険の先生を残し、保険室を後にした。

豪は助けてくれた人に声をかける。

「助けてくれてありがとう!俺、豪って言うんだ!よろしくね!」

それに対し、その人も挨拶をする。

「お……な……はあ……………みつ………んだ。よろしくな。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


豪はここから先が思い出せない。

「おかしいな…、結構印象的な名前だったから忘れないと思ったんだけど…。」

豪は思い出そうと頭を抱える。

結局なぜ気絶するのかと言う話は解決していないが、この話に対して明日香、東貴、真木、レナはそれぞれ違うことを考えていた。

最初に口を開いたのは真木だった。

「豪くん、話の中で出てきた花が置かれてた場所ってどこ?」

なるほど、今の話に出てきた女子高生が霊だとしたら、その花が置いてあった場所が亡くなった場所の可能性がある。

今この場を作っているのがその霊だとしたら、その花が置いてあった場所が関係してるかもしれない。

豪はその花の場所はしっかりと覚えているらしく、4人を案内する。学園裏すぐのところだった。

ネットフェンスのせいで、ギリギリ真下は見えない。

仕方なく、フェンスを越えて下を見ることにした。

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