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天恵 〜自由への黙示録〜  作者: 吾田文弱
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5. 監視されるはぐれ者

寝返りを打ったら、朝の日差しが眩しい……。目覚ましなど掛けない俺にとって窓から覗く日差しこそが目覚ましだ。煩わしいことこの上ないが、その煩わしさがまた寝返りを打たない限り断続的に続くから、結果的に目が冴えてしまい、身体を起こすことになってしまうんだ。決して良い目覚めとは言えないが、寝坊助の俺にとっては良い目覚ましだ。


――今は何時だ? 枕元に放り投げられたが如く転がっている携帯に手を伸ばし、時刻を確認する。午前七時前……俺にしては随分早起きだな……。いつもは九時くらい――一時間目の授業が始まっている頃に目が覚めると言うのに、珍しいこともあるもんだな。


 だが俺は再度ベッドに横たわる。大抵の奴ならばここで歯を磨いたり顔を洗ったりなど学校へ登校する準備をしなければという気分になるだろうが俺はむしろ損をした気分になったからだ。


 一時間半も早く起きてしまった……。俺の脳が正常に動き出すには時間帯が早過ぎる。などと言っている間に数分も時間をロスしてしまった。一刻も早く九時まで脳を休ませなければ、これから一日俺が正常に動くことができるかを左右するからな……。


 と、再度眠りに就こうとしたところで、一階の方からインターホンのベルが鳴る音が聞こえた気がした。

 いやいや……空耳だ。昨日の疲れがまだ残っているようだ。俺の疲労は十二時間の睡眠でも取り除くことができんとは、よほど頑固なんだな。

 さてさて、そうと解れば横になって眠るのが一番だ。ほら……目を瞑ったら直ぐに――、


――ピンポーンピンポーンピンポーンピンピンピンポーピ―――――ンポ―――ン


 眠れねぇ! ていうかリズミカルに鳴らすんじゃねぇ! 


 空耳なんかじゃなかった……。できればこれが俺が眠っている間に見ている夢でありますようにと一瞬でも願った俺が馬鹿だった。

 それにしても何だこんな朝っぱらから⁉ 人ん家のインターホンをおもちゃみたいに扱いやがって! どうせツヅがリュウのどっちかだと思うがな! 


 それともあいつら、一人じゃ駄目だと踏んで今度は二人掛かりで来やがったな⁉ 昨日あんだけ思い知らせてやったってのにまだ懲りてねぇのか? ホンットしつこさだけは随一だな!


 まぁだ鳴ってやがる……。どうやら出ねぇ限り鳴り止みそうもない。何より近所迷惑だ。俺のせいにされかねないしここは一つ折れてやるとするか。後でいくらでもまた思い知らせてやればいいだけの話だ。ここは一旦我慢だ。


 俺は昨日下に着ていた私服姿のまま――つまり昨日寝たままの恰好で一階へと降り、不躾に玄関の扉を開けたのだった。


「はいどちらさん⁉」


 寝起き丸出しのしゃがれた声で、今の今までインターホンを鳴らし続けていた相手に対しそう気だるげに言い放った。そしてそこにいたのは、


「おはようございます一さん! あら、もしかして寝起きでございますか? 髪の毛が乱れておいでですよ? ハッキリ言って、だらしないですね」


「…………」


 誰だ……コイツ? 頭髪が銀髪のボブカットで、鼻筋に引っ掛けただけの小さな丸眼鏡を掛けた如何にも優等生ですよと言わんばかりの物腰やわらか(?)な口調の女子生徒がそこに立っていた。


 この女がどうして学校の生徒なんだと解ったかといえば、この女が身に付けていた服装が、うちの高校指定の白を基調としたセーラー服だったからだ。それと同時に解らないこともある――何故こいつが俺の名を知っている? という事だ。何処かで面識あったか? 全く身に憶えがない……。


「あら、私のこと……もしかして存じていらっしゃいませんか? お顔にそう書いておいでですよ? ああ……私は悲しゅうございます……せっかくご一緒のクラスになれたと言うのに」


 一緒のクラス……だと? ということはこいつ俺のクラスメイトか? むう……こんな奇抜な髪の色をしている奴がいたらすぐ気が付きそうなもんだがな……。


「あ! そうですわ! 一さんはお顔の右半分が前髪で隠れておいでですわ! 一さんの御席は一番窓際でしたね、一方私は廊下側……それでは気付きたくても気付けませんわね! というかその髪型、ダサいですよ? これを機にバッサリといかれてはどうですか?」


 ていうかこいつ、さっきのインターホンの押し方もそうだがさっきからサラリと失礼なことを言ってくるな……。慇懃無礼とはまさにこの事だ。笑顔でそう言ってくるのもまたムカつく。何なんだこの女、朝っぱらからイライラさせやがって! 

だがこいつの言い分に間違いはない……俺は右半分が殆ど見えていないのは事実だ。くそ……そう考えだしたら余計に腹が立ってきたな。取り敢えず先ずコイツが何者なのかを訊く必要がありそうだ。


「おいお前、さっきから妙に馴れ馴れしいな。確かに俺はお前のことなんざ全く知らねぇ、むしろ今初めて顔を合わしたくらいだ。お前一体誰なんだ? 登校初日にもしたと思うが、改めて自己紹介願おうか?」


 と無愛想に俺は言った――が、銀髪の女は特に笑顔を崩すこと無く、俺の問いに素直に答えるのだった。


「はい、私、名を有栖川愛梨栖(ありすがわアイリス)と申します。一さんと同じクラス――一年A組所属、出席番号一番、僭越ながらクラスの委員長を務めさせていただいております。もう既に一カ月程経ってはおりますが、何卒宜しくお願い致します!」


 女は深々とお辞儀をしてそう言った。

有栖川……愛梨栖。名前を訊いた手前申し訳ないのだがそれでもピンと来ていない……。それ程俺は他人に無関心だということなのか。

 まあ、だからと言って別に名前を憶えておく気などさらさらないがな。


「ふーん、成る程。取り敢えず名前は解ったよ……で? その委員長風情が朝っぱらから俺みたいな不良の家に尋ねてくるとは一体どういう了見だ? そもそも何故俺の家の住所を知っている?」


「頼まれたからでございますよ」


 暁月はさも当たり前だと言わんばかりの真顔でそう言った。頼まれた? 一体誰に? 

「担任の貫木先生にでございます。昨日の夕方に私の自宅に先生からお電話がございまして、「このまま一を放っておけば我がクラス……いや! 我が校の沽券に関わる!」と凄い剣幕で仰られておりまして……話の内容を要約致しますと、先生から直々にあなたの監視役を仰せつかったのでございます! 住所は先生からお聞きしました!」


「な……何だ……と⁉」


 これは厄介なことになったな……。邪魔な腐れ縁共に引導を渡してやってようやくほぼ自由な生活が始まろうとしていたと言うのに、今度は一度も話したことが無い委員長を名乗る女に監視を強いられるあの時とはある意味違う意味での囚人のような生活が始まるのか⁉


 あのすだれ禿め……余計な真似をぉ……! 昨日さんざんてめえの説教黙って聞いててやったじゃねぇかよ。どんだけ目の敵にしてんだよ俺を。沽券も糞もねぇよあんな学校に。 


 その事をせめて俺にも伝えておけよ! そしたら即断ったのによぉ! 


 ……だがそれを予想していたからこそ俺に連絡を入れなかったのか……終始頭に血が上りっぱなしのくせにそこんところは冷静なんだな。


「ていうかお前はどうなんだよ⁉ 昨日急に俺の監視役なんて請け負っちまって、迷惑じゃねぇのかよ⁉」


「いいえ全然? 私自身もあなたの日々の生活には看過できないものを感じておりました故、むしろ監視役に任命していただいて大変光栄でございます。委員長冥利尽きますね!」


 そんな風に屈託無い良い笑顔で言われても……。

 そっち的には良いかもしれないが、俺にとっちゃ悪い冗談にもなりゃしない。直談判しようにも、あいつには口で勝つ自信はない。覆すことは叶いそうになさそうだな……。


「では、早速ですが、まずは朝の支度をして下さい。先生のお話によれば、あなたは十日連続で遅刻をしているそうですね? それはいけませんわ、出席日数は進級や進学に関わってきます。まだ一年生だからと言って油断してはいけませんわ」


「大袈裟なんだよ。たかが遅刻くらいで……」


「たかが遅刻されど遅刻……その一回、一分一秒の遅刻が内申に関わってくるのですよ? 今からではもう手遅れかも知れませんが、希望を捨ててはいけません!」


 だったら構わねぇでもらいたいもんだな……。しかしまあコイツはよっぽど貫木に心酔している様子だな……言っていることがさっきから一々アイツっぽい。


「ほら早く! もう時間がありませんよ! 私はここで待っているので早く支度を済ませて下さいまし!」


 失礼いたしますわ! と暁月はヅケヅケとドアの前にいる俺を跳ね除ける様にして、俺の家に這入り込んでいったのだった。凄え力だ……あんな細腕から出る力とは思えねぇ。


「うお……おいてめぇ! 誰が中に這入って良いって言った⁉」


「あなたの監視役に任命されたからには、朝登校する時から、夕方下校する時まで、片時もあなたから目を離さない所存でございます! ドア一枚向こうからあなたの行動を見守るなんて以ての外ですわ! しかしご安心下さい、私が這入らさせていただくのは玄関まで、それ以上は罪に問われかねませんからね」


 いや、お前の家宅侵入の基準はどうなっている? 俺の考えを述べると家主の断り無しに一歩でも敷地内に這入り込んだらその時点で罪に問う事が出来ると思うのだが?

 インターホンを鳴らしていたその時から俺にとっちゃあ家宅侵入なんだがなぁ?


 などと心の中で愚痴をこぼしていても仕方がない、どうやらコイツは本当に俺が支度をしない限りここから一歩も動かないつもりらしい。黙って二階に上がりそのまま寝落ちしてしまっても良いんだが、コイツの事だ……きっと二階に上がって来て起こしに来る光景が目に見えている。


 玄関なら未だしも流石に家の中に這入られるのは勘弁願いたいところだ。ここは素直にこいつの言うことを聞くしかない。

 俺は二階に上がり、クローゼットから今日来ていく私服を選び、それに着替えた。そしてハンガーに掛けて部屋干していた学ランを手に取りそれも羽織った。勿論ボタンは留めねぇ。


 教科書類は学校に置き勉してある。空っぽの通学鞄を手に持って登校準備は完了だ。一階に降りて再び暁月のいる玄関へ向かった。すると暁月は、「はぁ……」と一つ、溜息を吐いた。まるで何でまだ何にも整ってないのにここへ来たんですかと言わんばかりに。


「ちょっと待ってください。一さん、あなた朝御飯はどうしたんですか?」


「はぁ?」


「朝御飯ですよ! あ・さ・ご・は・ん! まさか何も食べないで登校するつもりなのですか⁉ それこそいけませんわ! 今日一日働けるかどうかは朝御飯でこそ左右されるのですよ? 少しでも構いませんのでお腹に入れて下さい!」


 め……面倒臭え……この女想像以上に面倒臭え……ある意味ツヅ以上だわ……。


「もしかしていつもそうなのですか? そんなに恵まれた体格をしていらっしゃるのにかなり線が細いですねぇ……。厚い素材が使われている学ランを着ていると言うのに体のラインが丸判りです。エネルギーの補給がされていないので五、六時間目まで体力が持たないのですよ。だから居眠りなんてするのです」


「…………」


「ほらほら! ボーっと突っ立てないで早く行動する! エネルギーを長続きさせるのなら御飯物が望ましいですがもう時間がありません! パンでもいいので何か食べてきて下さいまし!」


 おいおいおいやり過ぎだろ! マジで何なんだコイツは⁉ 何故朝っぱらからこんなに多くの段階を踏まなければならないんだ⁉ これはもう監視と言うより隷属だ! 何でここまで細かくとやかく言われなければならんのだ⁉ 


「くそ……付き合ってられるか! 俺はもう行くぞ!」


「ああ! ちょ、お待ち下さい一さん! まだまだやり残している事がおありですのに!」


 構うもんか! 後ろから叫ぶ暁月に構う事無く俺は全力で走り出した。マジで面倒臭い、これからの一年間……下手すりゃ三年間、ずっとあんな奴の監視下に置かれることになるのか? 言葉遣いは丁寧かも知れんがやる事為す事滅茶苦茶だ!


 元はと言えば貫木の奴が行動を起こさなければこんな事にはならなかったんだ。全く、俺になんの恨みがあるってんだ……アイツの俺への執着心が尋常じゃなくしつこい。

 全力で走り切り学校の校門前に着いた後、俺は日頃運動していない所為かフルマラソンを走り切った一般参加のランナーみたいな状態になっていた。ふと後ろを振り向く――。


 流石に男の脚力には付いていけなったみたいだな。登校してくる生徒の中にあの女の輝く銀髪が見えない。ハァ……ハァ……追い付かれる前に早く教室に這入るか……。

 暁月曰く、アイツの席は俺の居る席からは真反対らしいからな……教室に逃げてしまえば、少なくとも授業中はアイツの監視からは逃れられる。

 ハハハ、なぁにが朝は登校から夕方は下校までだ。それでは一日中監視する事は出来んなぁ! 心の中で高笑いしながら俺は教室のドアを開けた――、


「おお! 一が珍しく遅刻してねえ!」


「今日の天気は午後から雨のち雷、ついでに洪水警報発令かあ?」


 と、口々に既に登校していた男子生徒達が早く登校してきた俺に対し嘲笑する。

 別に当然の事だからそんな事を言われても仕方ねぇことだがやはりムカつく。そんなに俺が早く登校して来たのが珍しいかね? 十日前にはちゃんと時間内に来ただろうが。


「あなた達! そのようにクラスメイトである一さんを馬鹿にしてはいけません! 普段遅刻してきている人がちゃんと時間内に登校してきた。寧ろ褒め称えるべきではありませんか?」


 ほら見ろ、有栖川の奴もそう言ってくれてんだし――、


「――って、はぁ⁉ 有栖川⁉」

 思わず教室に響き渡るくらいの大声でそう叫んでしまった。教室内に居る全員の視線が俺に集まる……。くそぉ、俺とした事が、取り乱した……!


 そして俺の視線の先に居たのは、一度見たら忘れられないあの銀髪のボブカット、鼻筋に引っ掛けただけの小さな縁の丸眼鏡、その下に覗く青色の瞳……。

 左目だけでもハッキリ視認できている。間違いなくそこに居たのは、このクラスの慇懃無礼な委員長、有栖川愛梨栖だった。


「おや、遅かったですね一さん。だからあの時朝御飯を食べておくべきだったのです。まだ息が上がっておりますよ? まあ、朝御飯抜きだけが原因ではないかも知れませんが」


 相変わらずの減らず口だな。いやそれよりもだ……、


「お前、いつ着いたんだよ……? 俺が走ってる時にはお前の姿なんてどこにも……」


「私は委員長ですよ? 他の誰よりも早く教室に居なくては示しがつかないでしょう?」


 何言ってんだこの女……俺がここに着いた時には既に何人か教室にいたが、コイツの言い方だとまるで自分がこの教室に一番乗りをしていたかのような言い方だ。

 時間的にもコイツより早く来た奴が居る筈だ……。気になった俺は近くにいた奴を捕まえてこの教室に来た時の状況を訊いた。


「おい、お前がこの教室に着いた時、他に誰かいたか解るか?」


「え……有栖川さんと他にちらほら人がいたくらいかな……」


 開口一番有栖川の名前が飛び出しやがった……。嘘を吐いている風にも見えん……。

 さらに俺は問い質し、暁月を除いて自分よりも早く着いていた奴は誰かを訊き、そして数珠繫ぎ形式で一人ずつ訊いていったのだが、最後に辿り着いた奴の答えはこうだった。


「自分が教室に着いた時、教室に居たのは有栖川さんだけだった」


 そんな馬鹿な……! 時間的にも絶対に最後に訊いたコイツが先に着いていた筈だろ……⁉

仮にコイツらの言うことを信じるとするならば、この女は俺よりも何倍も速い脚力で学校に着いた事になるぞ……。しかしそれがどうも信じ難い。


 二度目だが俺の家から学校まではそんなに離れていない、信号だって踏み切りだってねぇんだ。全力で走れば四分くらいで着ける。実際四分で着いたしな。

 それをこんな見るからに運動音痴極まりない華奢な体格の女が俺よりも早く学校に着いただって? 俺も運動は日頃しない方だが流石に女に負ける程落ちぶれちゃいねぇ筈だ。


 だが実際にこの女は俺よりも先に教室に着いていたと言う紛れもないクラスの奴らの証言がある。だが、この証言は……明らかに矛盾している!


 ――って、高らかに宣言してみてぇもんだな。しかし出来ん、俺の中にそんなキャラ設定はない。中二病だと思われても敵わんしな。


 だが何かモヤモヤする……学校に着いてからだったが後ろを確認した時にアイツの姿なんて見えなかったがなぁ……ホントマジで意味解んねぇ! 何なんだこの女⁉ 一体いつ俺を追い抜いたんだ⁉ ウサイン・ボルトでもたかが知れているぞ⁉


「あのぉ……一さん、先程から何をソワソワされているのですか? 一旦席にお着きになり、落ち着かれた方が宜しいかと……皆さんにも迷惑ですし」


「ああ?」


 俺がその場で頭を掻き毟りながら悩んでいると、後ろから俺の肩をちょんちょんつつきながら有栖川がそう言ってきた。……ったくてめぇのことで悩んでんじゃねぇかよ。

 だが有栖川の言う事にも一理ある。一旦頭を冷やした方が良いだろう。しかしまあコイツ本当に一言余計だな……こんな奴がよく委員長になれたもんだ。


「解ったよ。あんたがどうやって俺より早く学校へ来たかはその後にじっくり、あんたの口から直接話してもらおうじゃねぇか」


 俺は素直に窓際に位置する自分の席に着いた。すると何を思ったのか、暁月は俺の右隣の席に当たり前のように着席しやがった。いやいや、俺の視野の範囲なめ過ぎだろ、流石に隣に座っている奴くらい解ってる(名前は知らんが)。お前じゃあない。


「おい、お前の席はそこじゃねぇだろ? いくら今本人が居ねぇからって……」


「は? 何を言っておられるのですか一さん? 私は一度申した筈でございますが? 馬鹿なんですか? 朝登校してから夕方下校するまで、あなたから片時も目を離さないって!」


「えっ……」


 待てよ……この予感は気のせいであって欲しいのだが、もしかしてもしかすると――⁉


「貫木先生と、今まであなたの隣の席に居たサイシさんに無理を言って、席を替えさせて頂いたので御座います。あなたを監視する為だと訳を話したら、二人共アッサリと承諾して下さいました! 約束通り朝から夕まで、宜しくお願い致します!」


 最高にムカつく笑顔で、暁月はそう言ったのだった。

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