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愛してるゲーム、開始です!

「んじゃ、王様ゲーム始めるよーっ! 飲み物の追加注文はこれから各自でよろしくぅ!」


 ほどよくアルコールが入った(振り)をして一樹が割り箸を取り出した。

 お酒というのはとても便利で、大体のことが「酔っていたから」で済ますことが出来ることがある。

 特に、こういうノリと勢いではその口実を作るにとっておきってわけだ。

 一樹やイケメン君は、酔った勢いであわよくばこの子達のどれかをお持ち帰りして……ってのも充分頭の中に考えていることだろう。


 俺だって、さっきまではそういう腹積もりがなかったわけではない。

 あわよくば、個人的に好みの黒髪ロングちゃんを洗脳して……なんてことも考えていた。


 だが――。


「ねーねー、あんた、どいつが狙い目?」


 黒髪ロングちゃんの隣にいた金髪ギャルが毛先をくるくるしながら問う。


「わ、私は……そんな、ね?(うっ君……私のこと、見損なったり……)」


 片や冴えない君は隣のイケメン君に


「お前も、あの子いいと思うか? 俺も正直、しょーじきお持ち返りしたいんだよな」


「そ、そっか……(香織ちゃんはそんな子じゃない! もっと、優しくて、笑顔が明るい子なんだ!)」


 ……なんだこりゃ。


 これもうお持ち帰り云々じゃねぇよ! 王様ゲーム云々じゃねぇよ!

 一番人気、倍率1.1倍の女の子が場内に入ってきてないレベルだよ!

 何言ってるか分かんねぇけどそんな感じだよ!


 ともかく、今現在の構図はこういうことだろう。


 一樹→黒髪ロングちゃんを堕としたい

 イケメン君→黒髪ロングちゃんを堕としたい

 冴えない君→黒髪ロングちゃん(=香織ちゃん)ラブ

 黒髪ロングちゃん→冴えない君(=うっ君)ラブ

 俺→黒髪ロングちゃんを洗脳(堕として)して堕としたい。


 ……どう考えても俺が一番クソ野郎じゃねぇか。


 というか、冴えない君と黒髪ロングちゃんはどういう関係なんだ……? と、思っていた矢先だった。

 

「王様だーれだ!」


 一樹の号令と共に、俺たち全員が割りばしを引っこ抜く。

 そこで当たったのは、イケメン君だ。


「よし、それじゃあ……四番が、七番に愛してると宣言! 七番は、それに対してもう一回……を続ける! 先に照れた方が負け!」


 ……そういや、最近流行ってるなそのゲーム。


 片方が「愛してる」と言って、言われた方は「もう一回」って言いあう奴。

 お互いの眼を見て言わなければならない……いわばリア充御用達ゲームだ。


 と、四番と七番が手を挙げる。


 ……。


 …………!


 四番:冴えない君

 七番:黒髪ロングちゃん


 ……何だコレ。


 号令を取るイケメン君の指示により、向かいの席に座っていた二人が立ち上がる。

 自分に当たらなくて若干悔しさをにじませる一樹の前で、愛してるゲームがスタートした!


 先行、冴えない君。


「あ、愛してる……」


 後攻、黒髪ロングちゃん。


「も、もう一回……」


「あいしてる」


「もういっかい……」


「あいして……あいしてる」


「もう、いっか――」


 照れてる照れないの以前にもう二人の顔は沸騰状態に真っ赤だった。

 そりゃそうだ。最初から照れっ照れなんだから。


「あいしてる!」


「も、もういっかい!」


 というか黒髪ロングちゃん、段々愛してる言われるの嬉しがって来てない!?



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