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6/10

まさかの展開、突入です!

4月10日執筆

4月17日公開

「んじゃ、とりあえず乾杯しよっか!」


 イケメン筆頭一樹が音頭を取ると同時に、俺たちはジョッキを片手に持った。


『乾杯~!』


 挨拶もそこそこに、ビールを一杯あおる一樹。合コンの始まりのゴングが鳴ったも同然だった。


「んじゃ、とりあえず自己紹介していこっか!」


 一樹の爽やかな声が響き渡る。それと同時に、彼の後ろポケットには何本もの割り箸が刺さっている。

 なるほど、王様ゲームか。鉄板だ。

 こちら側としては、上座から座っている順に一樹、イケメン、オタク、冴えない奴、爽やか青年、そして俺の順で適当に自己紹介を行う。

 対して、向こうの方では茶髪美女、金髪美女、黒髪ギャル、黒髪清楚ロングストレート、ちっちゃい子、そして黒髪ショートカット美少女。


 俺の目の前に座るショートカット美少女は、ちびちびとビールを飲んで「ふぅ」と小さく息を吐いた。


(……あの黒髪ロングの子、いいな)


 一樹が対の席に聞こえないように言うと、イケメンはそれに鼻息荒く頷いた。


(あとでぜってーLIME突撃かけるし)


(おま、抜け駆けはなしだろ!?)


(お人好しのためにここまで来る奴があるか!)


 笑顔のままに口撃しあう一樹とイケメン。


 まぁ、確かに俺も一番ってったら黒髪ロングの子だろうか。名前は忘れたけど。

 なんとなく、恥ずかしそうにうつむいて頬を染める辺りすっごく可愛い。

 とはいえ、本来ならば俺にとってはただの高嶺の花のような存在でしかない。


 本来ならば――な!!


「なぁ~お」


 お店のウィンドウの外では、どこかで見たことのあるような黒い猫が大きなあくびをしている。

 黒猫がよぎると不幸が舞い降りるってのもあるくらいだ。だが、おれは不幸を幸福にすることが出来る。


 この、時間停止と洗脳能力で!


 なんたって、時間さえ止めてしまえばここにいる全員をひっちゃかめっちゃかにすることも不可能ではないのだ。

 とはいえ俺はそこら辺の下品な主人公とはまるで違う。


 先に、相手の了解(洗脳してから)でないとな。


 悪い笑みが自然とこぼれる俺――だが、冴えない奴の前に座る黒髪ロングの子は、相変わらず恥ずかしそうにうつむいているままだった。


「……?」


 ふと見てみると、その前に座る冴えない君も今まで以上に冴えない雰囲気を醸し出している。

 

「……よ、よろしく」


 冴えない君、黒髪ロングちゃんに果敢に話かける!?


 何だこの展開。一樹とイケメン君若干半笑いじゃないか!


「…………」


 なお、黒髪ロングちゃんは何も答えない。

 ――と、ここで俺の頭にあの、「きぃん」というモスキート音のような音が流れ出した。


「……(な、なんで香織がこんな所に……!? そういや、上京したとは聞いていたけど……)」


「……(な、なんでうっ君が……!? あぁぁぁぁ恥ずかしいし別れを切り出したこと気にしてないよね……。でも……話しかけて……というか合コンに来るような奴って知られたらどうしよう……! 私、まだうっ君のこと……!)」


「(香織……!)」


「(うっ君……!)」



 ……まさかの展開だった。

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