運転は難しい
彼女が運転免許を取って、初運転するので横乗りしてほしいと言われた。
ベージュの軽自動車に逆さの初心者マークが目立つ。
ゆっくりとエンジンをかけ、出発と行きたい所がだが全然前へ進まない。
足元を見ると地面に根がついたようにブレーキをしっかりと踏んでいる。
「進まないよ」
「わかってる!! 話しかけないで」
苛立ちながら、彼女はゆっくりとアクセルを踏み、車を進めた。
車は田舎のあぜ道をゆっくりと真っ直ぐ進み、国道へと近付いていく。
国道が近付くにつれ、彼女の顔が息苦しくなっていく。
「どうしたんだ? 運転変わろうか?」
ぷはーという息を吐く彼女の喉元から悲痛が叫ぶ。
「何か喋ってよ。息するの忘れたじゃない」
女の扱いは車の運転以上に難しい。