表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(未定)  作者: 紫紅杏鳥
1/3

プロローグ

 大雨の中、夜空に浮かぶのは黒い飛行戦艦。

 壁面にあるいくつかの小窓の一つだけに、小さな灯りはともっていた。

 ロウソクの火がゆらゆらと揺れる。

 薄暗い部屋の一角にあるデスクで、男は積み上げられた書類に目を通していた。

 無表情に淡々と文字を読み流していく様は、まるで機械のよう。

 切れ長な蒼い瞳を休めることなく、男は淡々と書類を読み進めていた。


「あの、シキさん。そろそろお休みになられた方が……」


 戸惑いがちに声をかけたのは、椅子の横に控えていた大柄な男。

 その男は、自信のなさ気な垂れ目を心配そうに細める。

 大柄な男の問いかけに、ようやっと仕事を終えたシキ=リリナートは息をついた。


「すまないな。先に休んでいてもよかったぞ」

「い、いえっ、そんな!」


 書類の整理を始めるシキに、大柄な男――エディル=メイアは安堵のため息をつく。


「なかなかに厄介な案件ですね、こいつは」


 エディルはそう言うと、表情を引き締め不満そうに眉根を寄せた。

 そんな彼を視線だけで一瞥し、シキは無言で資料に目を落とす。

 資料に載っている男の写真と、その男が引き起こしている数々の事案。

 それらに再度目を通して、シキは資料をデスクに置いた。


「いくら性悪貴族の屋敷だからって、上層部の許可もなしに潰していくのは、違反行為です!」


 何も言わない上司に、エディルはますます不服そうに目を細める。

 そんな部下の憤りに、シキは目頭を揉みながら立ち上がった。


「今日は早い。お前ももう休め。それとあまり大声を上げるな。みんなが起きる」

「えっ……は、はい。すみません……」


 あまりにも呆気ないシキの反応に、エディルはバツが悪そうに頭をかいて奥の部屋へと消えて行く。

 彼の後ろ姿が見えなくなるのを確認すると、シキはもう一度先ほどの資料を拾い上げた。

 まだ年若い青年の写真と、数多の破壊活動の経歴。


「破壊者、か……」


 蒼い瞳を一瞬揺らめかせて、シキは雨の打ちつける小窓の外――暗闇の彼方を見据えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ