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プロローグ
某歴史上の人物が書いた本と同じ名前なのですが、そちらとはまったく関係ありません。ちなみにガリアは今のフランスのことだそうです。
プロローグ
もうずっと前の話だ。
大きな、大きな戦があった。
たくさんの人が死んだ。本当にたくさんの人が死んでしまった。
たった一人の男のために。
今でも覚えてる。
夜のうちに降り積もった雪が鮮血に染まっていた光景を。
武器を持った兵士だけじゃない。
幼い子供、老人、女性。鍛えられた殺意の前には無力な者達の死体の山。
一面の白の上に広げられた紅。
気が狂いそうだった。
自分が守れなかったもの。守りたかったもの。
その全ての前に自分というものは無力で、小さくて。
堪えた嗚咽が砕けそうな胸を疼かせた。
強くなることの意味を知らなかった甘い自分への苛立ちとなくしたものへの悲しみと。
その日、胸のなかに刻まれた想いを自分は決して忘れない。