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第1章 オトゥーラ

 煥戦かんせん532年。


 煥戦剣機ブレイゼイバーと、煥戦銃機ブレイゼントの2分類する同型種が、互いの持ち武具で戦闘を展開した。


 そして、新悠歴しんゆうれき元年。


 煥戦闘資料を白紙すべく、戦記文献の取締りをせずに、関連性高いポイントを根絶やし、新悠時代が誕生した。


 新悠兵ネオンランナーが増えて、煥戦機材を一切無くすための作業が彼らの仕事になった。


 そんな作業者を召集させた隊、新悠憲兵隊ネオンリードが、この新生地球『ステイラ』を救援目的で各地方へ駐留していった。


 ステイラのネオンカルチャー・フロントメント〔地球でいう、連邦同盟組織〕が新悠憲兵隊と盟約を交わし、新悠同盟協定を結んだ。


 新悠文明能力を持って、フロントメント〔能力者のみの新定住地域〕計画を進めるのが同盟協会フロンティエルドだ。


 フロンティエルドの別称『悠久神殿』。これは、憲兵隊の手前はタブーであり、兵が施設別称を聞いた暁には、その民を即座に始末するのが掟であった。


 煥戦機材スクラップ集積更地『廃棄物パーク』。


 パーク管理長と更地を預かるサイドの機材チェッカー業の作業員のたまり場が、作業員住居になっていた。


 タンクトップ姿の筋肉質のムサイ男共の部屋のイメージがあるが、この時代では、女性作業員も当たり前だし、若い女性がいれば男共は、そっちに向いてて作業が捗らなくなるのが現実的だ。


 今日も廃棄物パークでは、何事も異常なく無事に1日分の仕事を終了させた。


 機材チェッカーは、不良品ではない回路をリサイクルプロテクトと認めて、専門業に搬送させる積み荷で大忙しでもあるのだ。


 そこは、男性陣の内容で、女性は、召集関係にまわされるという。コンテナ積み降ろしが生計維持には持ってこい……つまりは、時間給が高いという。


 コンテナの積み荷、荷降ろし作業員は、人員満員だが、フォークリフト代行のマシン、ネオンキャリアが運転資格者が不足していて、搬送させるにさせられなくて困難していた。


 キャリアライセンサーのガキがそこらにいても、キャリアに搭乗させないのは機材盗難スクラップシーフをこれ以上増やさないため見張りを厳重強化していた。


 強盗。

 それは、高値で売買取引所で活きたパーツを買い取れれば、生活に困らないという目的があるから、強盗人口が減る傾向なんて全くない。


 新悠時代とか新しい文明とか言うが、強盗者が人口増加したところで、何も改革したとは言えなかったのだ。



「姉さんの治療費のためだ。ライセンスはある。不法証明書じゃないんだ。ほら、これが身分証だよ」



 キャリアシートの窓から投げつけた少年は、強盗犯を見つけたチェッカーを威張ってみた。



「コラ!! 物を窓から放り投げるな!!」



 チェッカーの責任長が、逆に叫んだ。



「お父さん、それくらいに。ほら、あなたお姉さんの容態がどれほど難病かは知らないわ。でもね、盗みは犯罪よ。やめなさい」



 責任長の一人娘、『サリエル』がライセンス持つ少年を諭した。



「ちょっとあんた、そんな偉人ぶって説教してるけどさ、腐敗機材の回収でメシ食ってて、何が面白いのさ。くそつまらない現実で働いて金稼いでさ、何が新しい文明? 改革した世界に高額品の買い取りでゆとりのない生活の人間を無視した同盟は、俺たちを踏み台や肥やしにして悠々と暮らしてる。あんな連中いなくなれって言うんだ」


「言いたいこと……全部打ち明けて、気持ち晴れたのでは? なら、少し落ち着いたのなら、気分転換にお茶しない?」


「そんな脅しに乗っかってたまるか……よ」


「あなた、お姉さんのご病気の原因は煥戦硝煙の塵による内臓疾患では?」


「硝煙の疾患? 病気の名前とは知らねえよ。ただ、気持ち悪いっていつも言っていた」


「内臓に関わった患者は、たいていは気持ち悪いと言います」


「仮にそうでもあんたに関係ない」


「内臓は、下手をすれば命の保証はありません」


「だから、何度も……てか、あんた。医者なのか?」


「廃材屋をする医者がいるのですか? おかしな質問ですわ」


「詳しそうな物言いで……そう感じたまでさ」


「確かに学生の頃は医療を多少はかじってました」


「ウソは言ってないな……あんた。俺はオトゥーラ・インツレイア。あんたは何て言うんだ?」


「私は、サリエル・ルーアテル。ちゃんと降りてきてお話ししたいものです」


「まだ、信じていないさ」


「これは、あなたの身分証ですわね。今、ライターで灰にしてあげます」


「待て、女!! それだけは、やめろ!!」


「これで確証しました。あなた、オトゥーラは、本当にお姉さん思いの姉弟だと理解しました」


「はめたのか? 俺は女にはめられた! ちっ、こんなはずじゃ……」



 キャリアシートを降りたオトゥーラ。ティーテーブルの上には、甘菓子が乗せられていた。


 テーブル席に慣れない仕草の少年を見、笑い転げたサリエル。



「なに笑ってやがる。何だよ。話ってもう終わったろ」


「私たちと廃材屋を営めば、社会の広さが判ります。どうか私たちと働いてください」


「働くよりは、高値で売買。これが生活費なのさ。社会なんて知りたかねえよ」


「もっと現実がお判りになります」


「同盟は、旧暦のドンパチの屑鉄を歴史から抹消って言ってる意味……あれは、現代の生活者から高い税金で惑星追放を計画している証拠さ。現に、ドンパチ歴史参考人が支払った歴史文献返還の書類と歴史管理関係を売って、その金は同盟を考えた輩が宇宙へ往く切符にしてるんだ」


「私が話すまでもなく、社会の中身はご存じでしたのね。ごめんなさい」


「新悠協は宇宙を出て、ステイラを狙い撃つはずさ。それが俺たちを見棄てた真理に違いねえ」



 突然、銃器を構えた同型同色コスチュームの男たちが、テーブル席を包囲しだした。団体のリーダー格が言った。



「少年、タブーの発言を今しがた耳にした我々により即処分されたし」


「新悠協ってやつだろう? 何が悪い? 長ったらしい用語ワードは覚えたくないんだ」


「それでも、処されよ!!」


「正々堂々……やれよ。って、協会長に伝達頼むわ。サルエルたち、悪いな。一足先に別世界へ旅立つぜ。じゃあな」


「今生の別れは済んだな。では、皆一斉射撃用意!!」



 その時だ。

 

 射撃構えた兵たちの頭上から屑鉄の廃材が落下しだした。



「わっわっ……何をする!! 共犯と見なし、全員強制送還だ!!」



 作業用キャリアから、業務員が笑っては答えた。



「即処分よりも、送還のほうが悪くはないな」


「ああ、同感だ」



 廃材屋作業員の発言がおかしいと、リーダー格は悟り、オトゥーラ含む全員を強制送還しだした。

 

 

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