諭
「よっ、開けてくれ。」
「ただいま戻りました。千羽と千誓です。」
白い門の前、双子はその上部にある大きなカメラに手を振る。
入れ、という低い男の声とともに、白い門は大きな口を開け、2人を飲み込んだ。
この白い建物はGODSらが所属する対カミサマ機関である「organization of gods」の所有物で、関係者以外の立ち入りは固く禁じられている。
この機関は略称OOGなのだが、GODSと呼ばれることの方が一般的だ。
GODSに所属できる者は16歳以上であること、という規定がある。
双子―もとい、千羽と千誓は今日、8月8日に16歳を迎えた。
つまり、2人は今日から正式にGODSの仲間に入ることを認められた…というわけだ。
しかし…
「いってー!!何すんだよこのクソ野郎!!」
「てめーの頭を殴ったんだよ、こんのクソガキ!
まだ正式な加入も手続きも終わってない状態でよくもやりやがったな!」
敷地内を少し歩いていると、突然の背後からの衝撃が千羽を襲う。
千羽はいつのまにか真後ろに立っていた男性を威嚇する。
「あ、司令さんじゃないですか。こんにちは。」
「あ、司令さんじゃないですか~…じゃねえよ、お前もだ千誓!」
「あいでっ!」
次いで千誓も男性に一撃をくらう。
2人の頭をたたいた男性は、OOG日本支部の総司令である、桂 雪人であった。
「んだよ、いち早く駆けつけてカミサマ狩りしてやったんだぜ~?怒るんじゃなくて、むしろほめてほしいね私は!こんなに出来るルーキー、そうそういないぜ~?」
「正式な手続きや加入がない中、独断で行動してしまったことには謝ります。ですが、僕たちがあそこで動かなければ、他でもあのカミサマによって被害が出ていたかもしれません!」
そう、2人は今日からOOGに加入することを「認められた」だけ。
正式な加入をし、活動をするには様々な手続きを踏まなければならなかったのだ。
「そうはいってもな、万が一を考えろ馬鹿ども。俺はお前らにそんな勝手をさせるためにOOGへの加入を認めたわけではないぞ。幸い、まだお前らの手続きはすんでないんだ。…わかるな?」
「…脅す気かよ」
「違う。反省しろ。もう2度と勝手な行動を起こさないと約束しろ。遊びじゃないんだ、お前らがこれからやることは…。」
「…。」
「…。」
先ほどとは雰囲気の違う雪人のまなざしに、2人は口を噤むことしかできなかった。