第九十八話 永久のライバル
「冗談はよせよ。ずっと僕を守ってくれたじゃないか。何があったんだよ! 雫はどうしたんだ?」
「あいつは最果ての地で今も死に追われている。あいつを救うにはお前らを倒すしかない」
亮は胸ポケットからバッジを取り出した。ブラック・ⅰ団のバッジには黒真珠が6個ついている。
「そんな……ウソだろ!? どうしちまったんだよ」
ショーは亮へ飛びかかろうと走った。亮はすかさず腕を右から左へとなぎ払うように振った。その瞬間地面から高さ1M程の火柱が半円状に広がった。
「なんで……こうなったんだよ。何があったんだよ!」
「それをお前に言う必要はない。人を救うのがお前の役目なんだろ? 俺は俺の正義を守る。お前はお前の正義を守って見ろよ」
火柱は轟音を立てなおも燃え上がっている。亮の顔色を窺ったが、火が大きく見えにくかった。
「どうしようもないのか……」
「ああ……」
「戦うしかないのか」
「そうだ」
昔の事をもっと話したい。いつまでも仲良くしたあの頃に戻りたいとショーは祈ったが、無駄だった。あとは自分の心に決意する事だった。
「これを……」亮はショーに向かって何か放り投げた。
ショーは咄嗟にその何かを受け取ったが、熱く地面へ落としてしまった。
「なんだこれは? 石?」
「そうだ。バーニングストーン、いわば焼け石だ。その焼け石は特別でな、俺の心臓と繋がっている。俺との距離が近ければその石はより熱く、遠くなればより熱が弱くなっていく。冷たくなった時は俺が死んだ時だ」
「なんでこれを?」
「俺は逃げも隠れもせず翔太を潰す。それが俺の戦いだからだ。今日は宣戦布告ってわけだ。じゃあな」
」
亮は再度腕を右から左へとなぎ払った。突風が火柱を消したかと思うと、亮もいつの間にか消えていた。
静かな風だけが寂しくショーの頬を撫でて行った。




