第九十一話 サンクタリーヌとの戦い終戦
「じじい、勝利にはまだ早いんと違うか?」
本間はサンクタリーヌを見下ろして行った。
「ふん! 若造が強がりよ。次は貴様の番だ。一瞬にしてケリをつけてやる!!」
「それは勝ってから言えや。そうやろ? ショー」
「そうさ!!」燃え上がった炎の後ろからショーが現れ、勢いよく本へと飛びかかった。
「何!?」
サンクリタリーヌは目を見開き、本へと飛びかかったが、紙一重の差でショーは本を掴み取った。
「油断大敵だね。僕らの勝利だ!!」ショーは火の粉を払いながら言った。
「なぜ……なぜだ。なぜ生きている……」
炎の勢いが弱まると共にサンクタリーヌの声には力がなかった。腰から地面へと落ち、目は生き返った人間を見る信じられないような面持ちである。
「能力が弱まったようやな」本間は鳥籠から身を降ろし、ショーへと近づいた。
「ほんまに死んでしまうと思ったやんけ」
「ありがとう。本間さんがいなければ本当に死んでいました。真っ暗やみの中手を差し伸べてくれました」
「ショーがこいつの気を反らせてくれたおかげや。俺だけの大義やない」
ショーは本間の手を取って立ち上がった。本間の手は温かく、涙で少しべっとりとしていた。
「さて……じじい、終戦にしようや!!」
本間はペンをサンクタリーヌへ向けた。それはいかなる剣よりも威圧のあるもののように思われた。
「どうして生きているんだ? あの炎で焼かれたはずなのに……」周りの本棚が右へ左へと時空に歪んだように変形していく。
「自分が知らない事が起こって怖いんやな? しゃーない教えたろうか」
本間は得意げにペンをくるくると回しながら、ゆっくりと話しだした。