第八話 依頼完了
家の外へ出ると奥様とヒロミちゃんは救急車で運ばれようとしていた。
奥様は自分の足で歩けるが、娘のヒロミちゃんは未だ昏睡状態で安否が心配である。
奥様は翔太を見つけ、歩み寄ってきた。
「この度は誠にありがとうございました」
奥様は疲れ切った表情をしながらそう言った。
「こちらこそ、無事で何よりです。ヒロミちゃんは大丈夫ですか?」
「いえ…まだ何とも言えませんが。でもきっと大丈夫だと思います」
「そうですか…また元気になったら会いに行きます」
翔太はそう言い、別れを告げようとした。「では、それじゃあ…」
「待ってください。ぜひお名前と連絡先を教えてください。今は無理ですが娘が元気になったらぜひお礼をさせてください」
翔太は丁重に断ったが、奥様の誘いに断れず、またお会いする時にと約束した。
「では、これを…」
翔太はヒーロー名刺を手渡した。ヒーローランクはGランクと書かれている。
「ヒーローさんなんですね? やっぱりすごい!!」
奥様は驚いた表情をした。
「いや、たいした事ないですよ。僕は腰抜けですし…またご連絡お待ちしております」
翔太はそう言い、現場から離れることにした。
その様子を陰から見守る者がいた。
「フフフ…まさかあいつもヒーローなのか…」