第七十九話 お帰りリボン
目を開けると長方形の蛍光灯の光が目に入り、眩しかった。身体は痛くないが、所々痺れていたり、だるかったりする。私どれくらい寝てたんだろう……
「やっと目が覚めたね」首を横に向けるとアイが笑顔で覗いていた。
「リボン……お母さんから色々聞いたよ。頑張ってたんだね。そしてお帰りなさい!」
その一言で急に目が覚めた。上半身を急に上げるが思うように身体が動かない。
「駄目よ、寝てなきゃ」
「私……どうなったの? また負けちゃったの?」
「ううん」アイは横を首に振った。
「リボンの努力が実を結んだんだよ。玲奈のお母さんが認めてくれたんだよ。ヒーロー部に入ることを」
「本当!?」リボンは目を丸くしていった。飛び上がりたいが身体が思うように動かない。だから横にいた
アイに思いっきり、抱きついた。
「いいなーリボン」視界の外で馴染みのある声が聞こえた。マゴだ。周りを見渡すとみんなが自分を見ていた。
「みんな……」リボンは顔から涙が伝ってくるのがわかった。
「リボン……お帰り」みんなはリボンの顔を見て一斉に言った。
「うん、ただいま」リボンは一人一人の顔を見ながら言った。それ以上に言葉は出なかった。
「歓迎会と称してみんなでお酒を飲みますか?」マゴはにやにやしながら言った。
「お前とショーとリボンは未成年やから無理やわ」本間はそう言いながらマゴの頭をグリグリした。
「えっ!? 本間さんとアイちゃんってまだ未成年でしょ?」
「俺らは今年でもう二十歳になったんやで。そうやなアイちゃん?」
「そうよ。前の文化ホールでのライブで二十歳になったのよ。知らなかった?」
「えぇ!! 本当? キンジョーさんは?」
「自分今年で二十五歳ですよ。みんなからするとお兄さんだね」
「ウルフは?」
「俺は今年で三十六歳だ」
「おっさんじゃんか」
次の瞬間ウルフはマゴの腕を取り、腕挫十字固をかけた。マゴはあまりの痛さに地面に降参の合図を出す。みんなはその光景にどっと笑い、部屋に笑い声が響いた。リボンは上半身を起し、腹が痛いほど笑った。
やっと自分は帰ってきたんだ。
今までずっと自分は笑顔がぎこちなかった。人に良い風に見られたり、上品である事が大切だと教えられた。でもそれは自分であって自分でなかった。でも今後は心から思いっきり笑っていいんだ、自分らしく生きていいんだ、
そういった事を思える自分が好きになったのと、今一緒に笑える仲間がいることに感謝をした。
自分の人生はまだ始まったばかりだ。窓の外には大空を舞う小鳥の姿が見えた。