第七十二話 good night
「まさか……ここで今夜は泊るとはな」
マゴは都内に広がるビルのネオンライトを窓から見下ろした。
「そうだね。アイちゃんと仲間になるきっかけとなった、侵入したこのホテル……」
ウルフの提案とキンジョーの計らいによって今夜はみんなでプリンセスホテルへと泊ることになった。黒い影の出現と黒い矢の襲撃によって危険を守ることによっての判断だったのだ。
「バーナーなんだか可哀想だったね」ショーはベットに付いている電子時計を眺めながら言った。
「ショーもそう思うか? だよな、仲間を簡単に殺すなんておかしいよな」
「仲間って、そんなに簡単に切り離していいものなのかな?」
「あいつらは別だ。仲間を仲間と思っていない。ただ目的を達成にするための駒さ」
「そうだね……」
ショーはベッドの上で仰向けになった。心地よいベッドが疲れた体を吸収し、眠気を誘ってくる。
「マリ姉の行方も、リボンの音信不通も何かあったのかぁ?」
「わからない。マリ姉は別として、リボンの方が気になるな。作戦を練る時も変わった様子はなかったのに」
「ウルフが最後に連絡した時は普通だったって。ただマリ姉の事が気になって……一人で探しに行ったかも、そうか敵にまた捕まったか」
「大丈夫だよ」マゴはふわふわの枕をショーに投げつけた。
「だからこそ明日みんなでリボンの家に行くんだろ? なんとかなるさ!」
「そうだね」ショーはマゴに枕を投げ返した。
「大丈夫だね」
「ああ、そろそろ寝るか、おやすみ」
「おやすみなさい」