第六十三話 バーナーの攻防①
「おかしいな…」
マゴは何度も携帯番号を確認する。合っているはずなのに…
「どうした?」ウルフはTシャツに短パンとラフな格好で整えている。
「リボンが出ないんです。」
「本当!?」ショーも電話を掛けてみた。電波に届かない場所にとアナウンスが流れる。
「もしかして危険な目にまた遭ってるかも。」
「…それはない。昨日はおそらく自宅へいたと思うからな。マリ姉と戦いたくないから来ないのか、あるいは家の問題かもな。」
「腰抜けはほっといて、早く行こうぜ。」本間はスカした顔で部屋を出ようとする。ショーとマゴは本間を睨んだ。
「怖い怖い、でも早くしやんとバーナー帰ってしまうで。」
「本間さんの言うとおりです。閉店まで後2時間ちょいです。奴を誘惑する時間も考えると時間が惜しいです。」
キンジョーは腕時計の針を指差す。
「…仕方ない。俺たちで決行だ。この件が終わったら、リボンの家へ訪問しよう。」
それぞれが部屋を出て行った。
「アイちゃん行くよ。」マゴは部屋の電気を消し、外へと出る。
「うん…」
アイは雨が滴る外を眺めていた。夏の雨はじとじとしていて気持ちが悪い。水が肌着に染み込み、変な違和感を感じる。でも今日の雨は作戦決行においては運が良かった。スパイダーを見つける大きな手掛かりとなる。だがアイはリボンの事が気になって仕方なかった。雨が思い出を消すように…リボンはもう二度とここ(ヒーロー部)へは戻ってこないと感じた。