第五十九話 ビビリのバーナー
「居酒屋『ダイス』のイケメン男子のバーナーのことやろ!?通称ビビリのバーナーって言われてるけど」
「そう、そいつよ!!草食系のスラっとした姿の子。あだ名が印象的だったから間違えないわ。」
「あいつか~」本間は遠くを見るような目でバーナーの姿を思い出しながら言った。
「おいおい、勝手に話を進めるな。ちゃんと一から話してくれ。」
ウルフははやる気持を抑えて言った。
「帝京大学近くに居酒屋があり、そこにバーナーって子がいるの。その子がブラック・i団、スパイダーの情報を何かしら持っているわ。私の事をスター☆アイって知って、ぺちゃくちゃ自慢話も兼ねて話してきたの。」
「本当か!?じゃあそいつを早く捕まえて…」
「けっこう難しいと思うで…」本間はウルフに歩み寄りながら
「そいつは普段は口が堅く、おまけにビビリでな。中々本性を見せへんやつや。すぐにやばくなったら逃げるしな。おまけにあいつ陸上選手から逃げんのハンパないで。捕まえて口を割らすのは至難の業や。」
「じゃあどうしたらいいんでしょうか?」リボンは対策を見かねて発言する。
「わかれへん。俺あいつと友達やないし…」
一瞬部屋に沈黙が流れる。せっかく得た情報なのに活かす事が出来ない事実。目の前の餌をとられたような猫みたいにくやしい気持ちが心からこみ上げる。
「私とリボンのお色気作戦はどう?」
アイはセクシーポーズを見せ、男性陣の視線を寄せる。
「いいっすね。アイちゃん!!」
「危ないよ。」ショーは心配そうな目で視る。「一度アイちゃん話してるんだし、二人とも捕まったら…」
「じゃあ、女性陣は外へ誘導して、男性陣は外で一網打尽に捕まえる作戦はどうや?女性2人とウルフが客を装い、店へ侵入する。で作戦は考えてへんけどなんとかバーナーを外へ出して、俺とショー、マゴでバーナーを捕まえ、退散する。あとは…」
「俺がなんとかしよう。」ウルフはグッドポーズをした。「いい作戦だな。本間!!」
「おおきに、俺はアイちゃんのセクシーポーズみたいしな。」本間はアイの方をチラっと見る。
「じゃあ早速僕がお店の所在地、情報と周りの情報を現地へ確認して行きます!!もし逃げられても追い込めるように。」
金城は自分に何が出来るかをいち早く察知し、部屋を出て行った。「すぐに戻りますので!!」
「行っちゃった…僕たちはどうします?」マゴは金城が出たドアの方を見ながら言う。
「とりあえず戻ってくるまで待とう。明日以降の決行になるな。」
「明日は居酒屋休みやから、早くても明後日やな。あいつ土、日は必ず出勤してたから、明後日土曜日の決行やな。」
「そうなんだ…そう言えば私のライブも土曜日だったわ。」アイは一年前の文化祭ライブの日を思い出していた。
「俺も…今日バイトやから帰るな。明後日は作戦に参加するからメールしといてな。ほい俺のアドレス!!」
本間は紙切れに携帯番号とアドレスを書いて、部屋を出て行った。部屋を出る瞬間アイに向かって手を振った。
「あの人マイペースね。緊張感なくしちゃう。」意外にもリボンが腕組みをし、イライラしていた。