第五十七話 侵入戦の実態
翌日、ショーとマゴ、アイ、金城、本間の5人は学校近くの最寄り駅に集合した。ウルフ達に新しい仲間を紹介するとともに、近況報告を兼ねての作戦会議に出席する事になった。
学校へ向かう途中…
「本当にアイちゃんが仲間になるなんて」
マゴはまだ信じられない顔をしている。
「あそこまで人のために動いてくれる人はいなかったの。最初は憤りを感じて警察を呼ぼうと思ったけど、あまりにも行動が奇抜すぎてあきれちゃって…、あっ! そうだ。ショー携帯返しておくね」
「うん。ありがとう」
ショーはアイから携帯を受け取る。ケースがほんのりと温かく、ショーは少し気分が良くなった。
「どこに落ちてたの?」
「ベッドの枕元下付近よ。あなたたちがベッドの下にいる事はわかっていたけどね」
「えっ!!」
二人は同時に足を止めた。前を行く金城、本間は振り向きなおす。
「携帯を見つけて、わかったんじゃないの?」
ショーは目を見開いて尋ねる。
「携帯を見つけたのは翌日の朝よ。前の晩からあなたたちが部屋にいる事はわかってた。来る事もね」
「じゃあ、なんでわかったの?」
マゴは身を乗り出して尋ねる。
「私の能力よ。あなたたちの未来の行動を読んだのよ。握手会の時にね」
「でもあの時は眼が青色だったから人の心を読んだんじゃないの?」
「青の眼が人の未来を視るのよ。緑の眼は人の心を読む」
「逆だったんだ…」
マゴは金城マネージャーの方を少し見た。
「金城君は悪くないよ。おそらくただ勘違いしていただけ。握手会の時からあなたたちの行動はすでにわかっていた。風呂場を覗こうと思うのなら、その時に袋叩きにしてたけどね」
アイは笑いながら髪をなでた。今まで会った彼女と違って本当に無理なく自分を見せているようだ。笑顔が素直に見える。
「ショー君達、アイが部屋へ戻ろうとしているのに電話に出なかったから焦ったよ。どうしようもないと思ってた」
金城はここぞとばかりにあの夜の事を打ち明けた。
「あの電話は金城さんだったんですね。慌ててたんで電源切っちゃいました」
ショーはあの夜を思い返した。
「全部…繋がってたんだな」
マゴはアイとの握手会から夜までの出来事を思い返した。全てがこうなる事になっていたように感じた。
「なんや、俺も仲間に入れてぇーや」
本間はみんなの楽しそうな顔を見ながら嫉妬した。
空はとても青く広がっていた。蝉の声が辺りに鳴り響き、暑さが昼に近付くにつれどんどん上昇した。学校はもう目の前に近づいていた。