第四十四話 ウキウキ?握手会③
「それでは中へどうぞ~」
案内人に従って中へと案内された。黒い幕弾の中へ入ると部屋の中央に背の小さい少女が机の前へちょこんと座っている。
まさしくスター☆アイがそこにはいた。
右後ろには物腰の低そうなあのマネージャーが付き添っている。
「立石優一と言います。いつもアイちゃんの事を応援しています」
顔は嬉しそうだが、何か礼儀正しさを含めた面持ちでマゴは話す。前回の態度とは違いすごく大人になったようだ。
「ショーと言います」
ショーは焦ってニックネームで自己紹介をしてしまった。
「…あなたたち知っているわ。以前の講演会に来てたでしょ?」
アイは真っ直ぐな目で二人を見合した。
「ヒーローお二人さんが私に何か用?」
アイの黒目が澄んだ青眼に変化する。まるでここへ来るのが分かってたみたいだ。アイの能力をウルフに聞けばとショーは後悔した。
「すいませんでした。私の段取りが悪いばかりに…」
マゴは丁寧に一礼をする。
「率直に言うと、仲間に入ってもらいたいんですが…」
アイは机をバンと叩いた。その音にショーはびくっとする。
「またその話? ウルフにも何度も言っているはずだけど、私は一人が好きなの。ヒーローなんて絶対嫌。私は誰にも囚われたくないし、自由に生きたいの。ごめんだけど帰ってちょうだい」
アイは顔を後ろへ閉ざし、喋らなくなった。気まずい雰囲気が部屋を包み、マネージャーはアイと二人を交互へ目を移している。
「…ショー帰るぞ。アイちゃんまた今後…会いに行きます」
返答を待たずして二人は部屋を出て行った。
「無理だったね…」
ショーはうなだれた様子で言う。女の子を怒らすと怖いという事を学び、可愛くても油断は出来ないと難しさを学んだ。
「…するしかねぇか…」
マゴはぼそっと言った。
「えっ!?何て言ったの?」
ショーはまさかと思い、おそるおそる聞いてみる。
「アイちゃんの部屋へ侵入しよう。彼女の内心を探る!!」
「えぇー!!」
ショーは大勢の人がいる場所で誰よりも一番大きく叫んだ。