第四十二話 ウキウキ?握手会①
「昨日はよく眠れたか?」
マゴは片手を上げ、おはようの挨拶をする。
「うん、ぐっすり眠れたよ。今日は行く前の作戦会議はないんだ…」
ショーは飲むヨーグルトを片手に参上する。寝起きの頭はぐしゃぐしゃである。
「そうだ。早めの行動をしないとまた奴らが襲ってくるか分からないからな。ウルフ達はもうマリ姉と接触しているみたいだぞ」
「わかったよ」
ショーは頬っぺたをたたき気合いを入れなおす。
「それで、これからどうするの?」
「ショーくん、これを見たまえ」
マゴはにやにやしながらポケットからチケットを取り出す。
「何それ?」
「スター☆アイ握手会のチケットさ。アルバム1枚購入で握手会券がプレゼントされる。ほら1枚やるよ」
「2枚もアルバム買ったの?」
ショーはびっくりする。1枚3000円でも中学生にとっては大金だ。
「大丈夫だ。以前ウルフの知り合いがくれたのさ。それよりも本日鴨橋ホールにて13時から開催するんだ。急ごう」
「スター☆アイと直接会えるの?」
ショーはヒーローを忘れてテンションが上がる。
「そうだ。握手するその時がチャンスだ。ブースで隔てられているらしいから、1対1の可能性が高い。1人時間は約10秒から15秒だそうだ。ラストチャンスと思ったほうがいい」
「その…マゴは大丈夫なの?」
「俺か…」マゴは一瞬考えたフリをした。
「大丈夫さ。俺はスター☆アイが好きだし。今でも同じ気持だ。前回は嫌な部分を見たかもしれないが、それでも俺は…やっぱり好きなんだ」
「そっか…」ショーはほっとした顔をした。
「じゃあ、行こうぜ相棒!」
「おうよ!!」
マゴは晴れ晴れとした顔でポケットにチケットを押し込んだ。