第四十話 宣戦布告
「もうちょっとかくれんぼしたかったのに…見つけたら駄目じゃん。僕のかわいいミイラ達どうだった?」
少年は笑いながら話す。
「誰だお前は!?」
ウルフは糸電話越しに声を荒げる。
「自分は自分だよ。自分以外の何者でもない」
「じゃあ質問を変える。目的は何だ?」
「世界を支配する事かな。君たちヒーローがのほほんとしている間、闇の勢力は着実に増大しているんだよ。今日は君たちに一死報いてあげようと思って」
ウルフは考えた。ショー達と同じくらいの年の奴が敵にいるのかと、自分が思っている以上に闇がおぞましく変化している。
「スパイダーとは関係あるのか?」
「さぁ、あるって言えばあるけど…あの人テキトーだからどこへいるかわかんないよ。いつかは会えるんじゃないの?」
少年はまた笑う。奥の方からも笑う声が聞こえる。まだ仲間がいるのだろうか…
「まぁせいぜい頑張ってよ。いつかは大戦する事になるんだからさ。それまで人生楽しみなよ。先生…」
少年の声が聞こえなくなった。糸電話を見ると壁から糸が切れている。
ウルフは狐の嫁入りにあったような感じがしたが、窓の外を見ると、もうミイラ達はいなくなっていた。少年を発見したおかげで能力が解けたのだろうか。謎は深めくばかりだが、とりあえずはショー達を迎えに行く事にした。
「わかりました。それでは失礼致します」
「ちょっと待ちたまえ」
「何か?」
「最近東京都のある奥地へと別荘を建てようと思っとるんだが、どうかね?」
「いいんじゃないですか。静かそうな所で」
「そうかね。聞いて良かったよ。ありがとう」校長は嬉しそうな顔をした。
ウルフは校長室から出てきた。
「校長先生との話…どうでした?」
マゴは心配な目で見つめる。
「今の所誰かがいなくなったり、物損・盗難はなさそうだ。校長とも話したが我々ヒーローへの宣戦布告の可能性が高い」
「私たち狙われているんですか?」
リボンは以前の窮地を思い返す。
「ヒーローは悪の敵だからそう言えるな。だが我々は絶対に負けない。こんな素晴らしい仲間がいるからな」
お互いがお互いを見つめあい、にっこりと笑いだす。
「ウルフ、これからどうするんですか?」
ショーは一歩前へ出て言った。その姿が少し勇ましく見える。
「スパイダーを追う事も大切だが、やはり基盤を整えるためにも仲間が必要だ。俺とリボンはまたマリ姉と接触して内心を探ってみる。お前たち二人はなんとかスター☆アイを仲間へ引き込め」
「アイちゃん…」
マゴの顔が少しうつむく。
「マゴ、人の本性は1度や2度ではつかめない。何度も接触する事でその人らしさが出るんだ。あきらめるな!!」
ウルフは叱咤激励をした。
「明日改めて活動再開だ!! 本日は以上!!」
「ラジャー!!」
ショー達は正面玄関へと向かっていった。
「未来はお前たちの手で変わる、そう変わっていくんだぞ」
ウルフは窓の外で小鳥が鳴いているのを見ながら言った。




