第三十九話 糸電話の相手
ウルフは走りながら考えた。
(運動場を全体に見回せる場所でなお且つ、校内及び校舎においても指示できる場所…それは放送室だ。)
階段を1段飛ばしで駆け下り、職員室の前へ出る。
(おそらく放送室から特殊な電波を使い、ミイラ達を操っているんだろう。)
ウルフは職員室の鍵倉庫を開けた。放送室の鍵は…そこにはなかった。
「やはり…」
ウルフは職員室の奥へと進み、放送室のドアの前へ立った。ドア前で聞き耳を立て、中の様子を窺う。中からはクスクスと子供が笑う声が聞こえてきた。子供のいたずらなのだろうか?
ウルフは躊躇することなく、放送室のドアを蹴り飛ばした。
「もうそこまでだ!!」
しかし…中には誰もいなく、放送する機械さえも動いていない。自分の空耳だったのか。ウルフは肩を落とし、ドアを閉めようとした。その時部屋の左片隅に糸で繋がれたコップが置かれているのに気付いた。
「何だこれは?」
部屋が暗くよく見えなかったが、近づいて見るとそれは糸電話だった。糸を辿ると糸は壁の中から出ているようだ。ウルフは自分でも何故か判らないが、糸電話に耳を当てることにした。
「あ~あ見つちゃった」