第三十八話 守り抜け
「うん。大丈夫だよ…マゴ、木刀に変えたんだね…」
「あぁ、接近戦は戦いやすいからな。これが一番扱いやすい。それにしても…こいつら一体!?」
マゴは吹き上げる額の汗を一旦拭う。
「こちらから攻撃すると幽霊みたいに消えるけど、攻撃されたらそこに実体があって『脅威』となる。敵の分身なのかな?」
「分からない。けど一つ言えるのはここで戦ってもキリがないことだ。いますぐ正面玄関へまずは行こう!」
「そうだね」
ショー立ちあがり、マゴと一緒に正面玄関へ向かうことにした。
(一方)
「おい!! 誰かいないか?」
ウルフは教室のドアを勢いよく開ける。
そこには誰もいなく、忘れたであろう体操着だけがロッカーの上に置かれている。
「ウルフ危ない!!」
後ろを振り向いた瞬間ミイラが襲いかかろうとしていた。リボンがジャボン玉で作った剣でミイラの胸へ突き刺す。ミイラは喘ぎながら、包帯だけを残して散っていた…
「大丈夫ですか?」
リボンはまだ剣を構えている。
「大丈夫だ。3階はどうだった?」
ウルフは金属バットを右肩に担ぐ。
「3階は…誰もいませんでした。ただミイラだけがそこにはいて。シャボン玉の牢屋で出れないようにはして置きましたが」
「そうか…こっちも同じ状態だ。ミイラの頭を何度飛ばした事か。もう皆いないかもしれんな。正面玄関へ行ってショー達と合流しろ。俺はもう少し探ってみる」
「わかりました。ミイラはどうしたら消えるんでしょうか?このままでは…」
「わからん。誰かが操っている可能性が高いが、居場所か能力がわからないことは…。それは俺が考えるから、お前たちはただ守り抜け!!」
「はい!!」
リボンは正面玄関へ向け、廊下を全速力で走った。
「何が起きてるんだ…」
ウルフは幻想を見ているのではと頭を振り、冷静に冷静にと考えた。
ふと2階教室から窓を見下ろす。外にはミイラ達がうよめいており、その数は多くなっている気さえする。どこかに彼らを生みだす穴があるのか…、それとも電波塔みたいな所から操縦機を使って操っているのか…
ウルフはふとひらめき、あわてて教室を出た。