第三十七話 マゴの能力
駅でワッフルを買って、帝国大学へ向けて歩いていた時だった。
「そう言えば聞けずにいたけど、マゴの能力って何なの?」
ショーはワッフルを頬張りながら言った。
「俺か? 俺の能力はな…」
「あのボールは諦めなさい」
「あのボール高かったのに…、取ってよー」少年は地面に座り、地団駄を踏んだ。
彼らの先に目をむけると木に野球ボールが引っかかっていた。木の大きさは3mくらいで大人がハイジャンプしても届かない位置にボールがある。
マゴは一歩前に出て、彼らに歩み寄った。
「俺が取ってあげるよ」
「大丈夫ですか?」
少年のお母さんは心配そうに言った。
「まぁ見ててください」
マゴはそう言い終えると、手に念を送り、そして叫んだ。
「いでよ!孫の手!!」
次の瞬間、『孫の手』が空から降ってきて、マゴはそれをジャンプして、受け取った。
「それどうするの?」
「まぁ見てなって」
マゴは孫の手をボールの方向へ向けると何やらぶつぶつと呟いた。そうすると孫の手は徐々に如意棒へと変化をし、如意棒はボール目がけて勢いよく伸びて行った。果たしてボールは木から落ちたのだ。
「お兄ちゃんありがとう!!」
少年は嬉しそうにバイバイした。お母さんは横でお辞儀をしている。
「マゴの能力って…」
ショーは不思議そうな顔をする。
「俺の能力は基本的には…この孫の手だ」
いつの間にか如意棒は孫の手になっている。
「この孫の手で相手の弱い身体部分を掻いて、相手をへなへなにする。どんな強敵でも弱点は必ずあるからな。優しく傷つけず相手を倒すんだ。だが世の中それでは勝てないし、時として孫の手も冷徹に接しなければいけない。そこでもう一つの能力としていろんな武器へ変化することが出来る。銃刀以外にも大砲だって変化出来るぞ」
「孫の手からの『マゴ』なんだ…」
ショーは妙に感心した。
「そうさ!!」
マゴはほめられた気分でうれしくなった。