第三十三話 アイドルスター☆④
「さぁ、皆さんお待たせしました。いよいよスター☆アイさんの登場です!」
言い終えた瞬間壇上の真ん中にライトが照らされた。煙幕が立ち上がりドラムロールがホール内に響き渡る。煙幕が消えたその瞬間、可愛らしい乙女がそこにはいた。
「ヤッホー。スター☆アイだよ。みんなア・イ・シ・テ・ル?」
「ルー!!」会場全員が一斉に立ち上がり、アイの言葉に呼応する。最初は地震が起こったと思うくらい少し揺れを感じた。横を見るとマゴも一心不乱になって応援している。いつの間にか探偵きどりのメガネは内ポケットに入っていた。
「じゃあ行くよ~『星のルンバルンバ』!!」
ときめき星よ一番輝け
あなたの心に遠く響け
あなたがずっといるかぎり
わたしはずっと幸せです
聖なる鐘よ ずっと鳴り響いて
わたしたちの時間を止めないで
しっとりとする歌詞にテンポのいい音楽。透き通ったスター☆アイの声が心に広がっていくような気がした。
良い曲、いや素晴らしい曲だとショーは感じた。周りを見渡すと圧巻した。皆手にライト棒を持っているが、それぞれが違ったライトの光を放っており会場全体がレインボーで形成されていた。
上段から下段まで巧みに形成されたレインボーは人の動きによりまるで生きているかのように見えた。横を見るとマゴは泣いていた…
「裏口で出待ちしとこうぜ!!」
ライブ後興奮冷めないマゴはショーの裾を引っ張って裏口へと向かった。裏口には人だかりがあった。皆同じ考えをしており、スター☆アイが出てくる所を待ち伏せしている。
「星のルンバルンバ、超良かったー」女子大生がスター☆アイのモノマネをして楽しむ。
確かに心に響くいい歌だった。ショーはあと少しお金があれば自分もCDを買っていたと同じ気持ちになる。
「あっ!アイさーん」
急に歓声が上がった。
スター☆アイがサングラスをしながら出てきた。素顔は良く見えないがすこぶる機嫌が好さそうに見える。後ろでヘコヘコしているのはマネージャーだろうか。メガネをかけいかにも物腰が弱そうに見える。
「サインくださーい」「握手してー」
次々と人が押し寄せ、ショー達は満員電車の中みたいになる。その時一人の少年が列から追い出され、スター☆アイの前に倒れこんでしまった。
誰もがアイが少年を助けるであろうと信じていたが、アイはそっぽを向け車に乗り込んだ。
一瞬現場はシーンとしたが皆何事もなかったように騒ぎ出す。
「あれは…ないよね…」
ショーはぼそっと言った。横を見るとマゴはまたも泣いていた。




