第三十一話 アイドルスター☆②
「ここが帝国大学か…広いなー、あそこに焼きそば屋あるじゃん!!」
ショーは大学の文化祭に妙に心が躍る。
「やっぱやめようぜ。危険だし…俺たちじゃきついよ」
マゴは珍しく弱気になる。スター☆アイと会うのがそんなに恥ずかしいのか…
「ここまで来たんだから、会いに行こうよ。マゴは男だろ!!」
「分かったよ…ショーお前も強くなったな」
マゴは初めて褒めてくれた。
ショー達は大学内のメイン通りを歩いて行った。家族連れはあまり見なかったが他校の生徒が大勢来ており、周りが大学生だらけだ。屋台も所狭しと左右に陳列しており、よそ見をしていると迷子になりそうだ。
「学芸ホールはどこだ?」
ショーは辺りをキョロキョロとして歩いた。その時…
「いてっ!!」ショーは何かにぶつかって倒れてしまった。
「いてて…」
「どこ見て歩いてんねん!!危ないやないか」どぎつい関西弁が正面から聞こえた。
「すいません。よそ見してまして…」
ショーは立ちあがりながらお詫びをする。
「ホントガキは信用でけへん…」ぶつぶつと言いながら、青年は立ち去った。
ここの大学生だろうか…。
「何だよ。あいつ気ぃ悪いよな。」
マゴはひそひそと言い、肘で突いてくる。
「そうだね。でもこっちが悪いんだから仕方ないよ…」
「でもあいつも本見ながら歩いてたぜ。お互い様だよ」
「…」ショーは青年の後姿を見ていた。何か今後また会うような気がする。そんな予感がした。
「学芸ホールあったぜ」
マゴは正面左前を指して言った。玄関前には整理券をもらっている受付員がいる。並んでいる人たちは券を渡しているように見える。
「もしかして…整理券がいるんじゃないのか?」
マゴは青ざめた顔で言った。
確かにスーパーアイドルが文化祭とはいえ、無料で招待を受けるはずはない。券やホールに入れる人たちの制限はあるはずだ。
「とりあえず並んでみようよ。もしかしたらだけど入れるかもしれないし」
ショーは最後尾を指し、スタスタと歩いて行った。
「ここまで来て、ホールの外からの応援はごめんだぜ」マゴも後に続いた。
順番に時間がかかると思っていたが、意外とスムーズに受付員まで辿り着いた。
「学生さんですか?」
にっこりとした顔で受付員は尋ねる。
「ええ、そうですが…」ショーはドキドキとしながら答える。
「中学生以上は整理券が必要ですが…中学生の方ですか?」
「そう…」ショーはマゴの口を塞いだ。
「来年中学生になるんですけど…まだ小学生でして…」ショーはキャップをかぶり、小学生っぽくした。
「そうでしたか。良かったですね。じゃあお入りください」
ショーとマゴは無事に中に入ることが出来た。
「ショーも悪い奴だな」
「いいや、かしこい奴だと言ってくれ。平和を守るためなら何でもするさ」
ショーはえっへんと威張った顔をした。