第三十話 アイドルスター☆①
「どこへ行ったらいいんだろう?」ショーは周りを見ながらキョロキョロする。
「まずは駅周辺を探索しよう。人通りも多いが、イベントの告知も多く人が集まる情報が多い。探索の基本だな」
マゴは黒縁メガネをかけて歩く。何も探偵気取りにならなくてもとショーは思った。
今日から夏休みで公園では子供たちがボールを使った遊びをして遊んでいた。最近の子供は家でゲームばかりしているんじゃないかとショーは思っていたが、昔の光景は今でも続いている。というか僕も子供なんだけどね…
ゆっくりと住宅街を抜け、駅を目指す。大通りでは車が渋滞しており、道路が混雑していた。みんな狐の嫁入りでも見に行くのかな。駅へ到着し、ショーは叫んだ。
「あっ!!ワッフル買ってこうよ」
ショーはお店へと走って行く。
「おい、待…。」マゴがいう暇もなくショーはお店へと入っていく。
「すいません。プレーン2つ下さい」
「ありがとう。あら翔ちゃんもう学校休み?」販売員のおばちゃんは尋ねる。
「そうだよ。友達と遊びにいくんだ。」ショーは笑顔でお金を渡す。
「良かったわね。暑いから気をつけてね。このワッフルもね」
「うん、ありがとう」
ショーはお店を出て、ワッフルを一つ手渡した。「はい、どうぞ」
「いいのかよ。仮にも任務中だぞ」
マゴは嬉しいが少し複雑な感じで答える。
「雰囲気を和やかにする事もヒーローとして大切でしょ。マゴは真面目なんだよ」
「確かに…、サンキューな」
マゴはワッフルを手に取り、一つ頬張った。
「あちー、でもカリカリしてて美味しい」
「でしょ、僕のお薦めのお店なんだ。おばちゃんが優しくて本当楽しいし」
「がぜんやる気が出てきたぜ。ありがとうな、ショー」
ショーは嬉しく思った。友達からありがとうと言われた事がいじめられていた時なかった。
「ありがとう」がこんなに人を優しくしてくれるなんて思わなかった。
「へへっ、いいよ」
駅構内では人が行き来し混雑していた。サラリーマン風な男が商談話を電話でしていたり、女子高校生が携帯画面をいじくりながら歩いている。構内を探索したが特に駅周辺のイベントはなかった。二人は掲示板の方へ歩き、イベント目録を確認する。
「帝国大学…文化祭?」ショーはポスターを見る。
「ひゃー、こんな暑いのによく文化祭とかやるよな。普通は9月だぜ」
「そうですよね。でも今回特別ゲストとして星川愛が出演だって!!これってあのスター☆アイの事じゃない?」
「スター☆アイ!?」マゴはその言葉を聞いて固まった。
「どうしたの?…マゴ?」
ショーはマゴの目の前で手を振るが反応がない。
「おーい!!マゴ!!」
ショーはマゴの肩を揺さぶり、ようやくマゴは気を取り戻した。
「ごめん。俺スター☆アイの事がとっても好きで…家の中にはポスターとかもいっぱい会って…でも一度も会った事がなくて、んで今回会える出演するって聞いて…」
マゴは顔を赤らめ、しどろもどろしている。
「びっくりしたってわけでしょ。会いに行こうよ。今日来るみたいだから。大勢の所にスパイダーがいるかもしれないし、仲間とも会えるチャンスだよ」
「駄目だよ。俺なんか会いに行っても話な…」
マゴはショーに引っ張られ、帝国大学へと向かう事になった。