第二十四話 サンドグレイヴ
「リボン遅いですね。」ショーは時計を見ながら言った。
「あぁ…」マゴは同じ場所を行ったり来たりしていた。
「何かあったんですかね。電話しても繋がらないですし…」
「そうだな。おそらく敵に捕まっている可能性が高い。分担して探すか、一緒に探すか…」
マゴは事態に戸惑い決めかねている。
「早く助けないと!」ショーは椅子から立ち上がり、部屋を出ようとする。
「待て!!考えなく行動すると全滅するぞ!」
「じゃあどうするんですか?」
「それを今考えている。リスクなく助ける方法を!少しは黙ってくれ」
マゴはイライラした。
「…」ショーは顔を沈め落ち込んだ。仲間を助けたい。その一心だけだったのに…
「いや…」マゴは切り出した。
「ショーの言うとおりだ。早く助けないと手遅れになってしまう。ありがとう。俺はまた姉の…あの日の過ちを繰り返そうとしていた」
「あの時の…?」ショーは聞き返した。
「いや今はいいんだ。早急に一緒にリボンを探そう。この事はまた話す」
二人は部室を出て、リボンを探し始めた。
(その頃)
「これでよしと」玉井はリボンに目隠しと口をタオルで縛った。身体は砂で覆われ身動きが取れない。
「君の能力は以前の飛び降り現場で見させてもらった。息を吹きかけなければシャボン玉も出ないだろう」
玉井はふんふんと鼻歌を歌いながら準備を進める。リボンはジタバタしても砂が身体を縛り付け、抵抗出来なかった。
「無駄だよ。ここはサンドグレイヴ(砂の墓場)だ。体育倉庫の裏で誰もやって来ない。今から私の操る砂で君を砂の墓場へと埋め込むのさ。安心しなよ。目に見えないかもしれないが、君以外に多くのお客様がすでにここに埋められている」
砂場の横にはリボン以外の生徒が横たわっている。おそらくリボンと同じように連れて来られたのだろう。
「最初は砂場に文字を書いてお墓を作ってたんだよ。作るのが楽しくてね。…でも誰も見てくれなかった。褒めてくれなかった。結局あの方の指示に従わないといけない」
玉井はぶつぶつと今度は文句を言った。リボンは教頭先生が操られているかもと感じた。朝礼の時に見せる先生とは雲泥の差だ。
「いでよ!サンドワーム」
玉井は叫ぶと砂場の中からミミズに大きな口がついた化け物が出てきた。
「この子が君を飲み込み、砂場の地中深くに潜り込む。砂場の中で君はこの子の体液に苦痛を浴びながら死んで行くんだ。心配はない。骨はちゃんとこの子が吐き出すから、地中深くで君の骨は生き続ける。ある意味理想郷だろ」
玉井はサンドワームの頭を撫でながら言った。