第二十三話 犯人は?
「そうか、ショー達のクラスも欠席者が…」
マゴは親指をあごの下に当て考えながら言った。リボンは今日はお茶を入れずに緊迫した表情で話を聞いている。
「マゴのクラスもそうなんですか?」ショーは不安になりながら聞いた。
「そうだ。ショー達ほどでないが数名は欠席者が出ている。先生がいなくなった事もみて何かこの学校で事件が発生しているのは間違えない」
「ただ何が起こっているんでしょうか?」リボンは体を前のめりして聞いた。
「分からない。この3日間注意深く見ていたが特に変わった事はなかった。ただ今言える事は関係ない者はすでに下校しているという事だ。今学校内にいる奴が事件を起こしている奴の可能性が高い。今から分担して捜索しよう」
「みんなで行った方がいいんじゃないんですか?」ショーはまたも不安になる。一人は心もとなく、以前の狛犬たちの事件が頭によぎる。
「そうしたい所だが犯人が隠れて出てこないと思う。危険な目に遭うかもしれないが、一人の方が犯人に出くわすチャンスが高い。何かあれば一回くらいであれば自分たちの能力を駆使して逃げる事が出来る。俺はみんながそう出来ると信じている」
マゴは力強く言った。その言葉に説得力があり、ショーとリボンは覚悟を決めた。
「わかった。何かあればすぐに連絡します」
ショーは携帯の充電池を確かめた。
「よし!! じゃあリボンは1階、ショーは2階、俺は3階を探そう。何かあれば分かっているな。すぐに…逃げろだ。時寺先生が帰ってくるのを信じて頑張ろう。30分後にここに集合だ」
「1、2のファイヤー!!!」
3人は手を下から上に振りかざし、決起のポーズをとり、それぞれが各階を散って行った。それを黒い影が見ているとは知らずに…
リボンは廊下を走っていた。時折窓の外から聞こえる蝉の音が聞こえたと思うとまた聞こえなくなる。皆自分自身に必死で窓を開けたまま帰ってしまったのだった。
教室を1つずつ確認する。教室には誰もいなく黒板にはショートルームの連絡事項が書かれていた。平穏な日々が一瞬にして奪われた日。孤独に思う心と教室のトビラをガラガラと開ける音が妙にむなしく響いた。
1階を一通り探したが特に何もなかった。携帯の時計をみるとまだ集合時間まで時間がある。リボンは校舎の外へ出ようと下駄箱へ向かったが、その時教頭先生と会った。
「おぉ驚いた。まだ居たのかね。下校時刻は過ぎているよ。最近病が流行っているから早く帰りなさい」
玉井教頭先生は優しく声をかけてきた。
「すいません。ちょっとかばんを教室へ忘れてきちゃって…取りに行ったらすぐに帰ります。教頭先生は帰らないんですか?」
「体育倉庫に用事があったんだが、鍵を忘れてね。職員室へ戻ろうとした所なんだよ」
(なぜこんな時に体育倉庫に用事があるのだろう)
リボンは疑問に思ったが顔には出さなかった。何かあやしい。
「そうですか。では失礼します」
リボンはこの場を離れ、マゴ達にこの事を報告しようとした。だがその時
「君もついてきたまえ。体育倉庫裏にあるいいものを見せてあげよう」
玉井は素早くリボンの腕をつかみ、ハンカチを口に押し付けてきた。
リボンは声を上げて叫んだが、すぐに急に眠たくなり、身体の力が抜けていった。まぶたが落ちそうな時教頭のスーツ内側にブラック・iのバッジを横目で見ながら…、、