第二話 水飴ヒーロー
あれから3年経ち、僕は中学1年生になった。
不始末な粘着物がずっとついている気分だ。
僕の名前は水飴翔太。第一中学校に通う普通の中学生だ。勉強、スポーツは可もなく、不可もなく問題ないけど、ずっと悩んでいるのは友達がいないこと。
小学校時代べんきマンの事件があってから僕はずっとクラスのみんなから避けられ、いじめられ続けてきた。しぼり雑巾を絞っても涙が出ないくらい泣いた事もあった。
今でこそ少しは落ち着いたもの、一部の過激派的な存在がまだその事で僕の心を痛めつける。とても深く苦しい痛みだ。
けど中学校に入って良い事もあった。まず空手を習い始めた。弱い自分を少しでも強い自分に変えるため、小さな身体でも大きな相手に勝てるように習った。
その部分でいじめが少なくなったのも事実だ。あと一つ良い事はヒーローになったことだ。
ヒーローってみんなはスーパーマンのようなかっこよく、強くて憧れるものだと思うけど、実際はそうではない。もちろんおばあちゃんの荷物を持ってあげたり、犬の散歩を手伝ったり、市民を助けてあげたりする事もあるし、時には悪の犯罪者と対決することもある。
でも僕は違う、そう、違うんだ。
みんなが笑顔になって暮らせる社会をつくるのがヒーローの役目だと思う。ヒーローが名を名乗り、世間が注目し、国が称賛をする。でも僕はヒーローを名乗らない。名乗ったらまだバカにされてしまうんじゃないかと考えるんだ。
その理由は僕の能力にある。