第十九話 第二回裏ヒーロー部緊急会議
次の日の放課後、翔太は勢いよく部室のドアを開けた。
そこには馴染みの顔の時寺先生、玲奈ちゃん、そしてもう一人見覚えの顔がいる。
「あっ!!」翔太は短く叫んだ。
「おっ!!来たな」少年は翔太を見て近づいてきた。
「初めましてじゃないけどな。俺の名前は立石優一。裏ヒーロー部の一部員だ。この前はたいへんだったな」
「こちらこそ水飴翔太です。トイレの時は助けて頂きありがとう」翔太は一礼した。
「そんな他人行儀みたいな事はするな。当たり前の事をしただけさ。俺は正義を貫き通すためだけに生きてきた。仲間を守ることも正義の一つだ。君の噂は先生から聞いている。これから仲良くしていこうぜ」
立石は拳を前に出してきたので、翔太も拳を突出した。友達がまた一人増えて嬉しい。
「顔合わせもすんだところで会議をそろそろ始めるか」
先生は号令を促した。
「へへっ、先生この会議久しぶりですね」立石は嬉しそうに言う。
「そうだな。第一回目のトキトウアヤメの件以来だな」
「トキトウアヤメ?」翔太は首をかしげた。
「水飴は知らないんだな。またその件は今度話すよ。玲奈ホワイトボードを持ってきてくれ」
「はい」玲奈はホワイトボードを持ってきた。
「よし。それでは第二回裏ヒーロー部緊急会議を行う!!」
「みな知ってのとおり最近ブラック・i団の行動が活発だ。いずれ我が裏ヒーロー部との対峙があるかもしれん。そこで水飴も参戦した所でブラック・i団の事をもう少し詳しく説明して置きたい」
先生はボードに絵を描き始めた。
「ブラック・i団の強さはバッジによって分かれている。バッジは目の形をしており、周りが時計盤になっていて石が埋め込められるスペースがある。石は黒真珠で出来ていて、1~13個の黒真珠の数によって強さが変わる」
翔太はフムフムとうなずく。
「狛犬のバッジは黒真珠が一つも入っていないのでペーペーだから特に問題はない。だが察知の通り13個目の黒真珠がついている者が敵のラスボスであり、その真珠は目の真ん中に埋め込まれている」
立石は真剣な眼差しをし、玲奈は不安な顔をした。
「ここからが重要だ。1~3の黒真珠をつけた者を見かけたらすぐに報告しろ。今後の活動に役立つから。ただ4つ以上の黒真珠をつけた者を見かけたらすぐに逃げろ。さもないと今のお前たちじゃ死ぬぞ。あと『i』の入っている名前の奴も注意しろ。」
「『i』が多いほど、敵は強くなってくるんですか?」翔太は疑問に思った。
「いい質問だ。だがあまり関係ない。あくまで『i』が入っている奴だけだ」
翔太は少ししょんぼりした。
「ブラック・i団以外に異世界からの侵略者がこの地球に集まっているらしい。今のヒーローだけでは役不足でこのままでは世界が危ない。時代は変わりつつある。過去の平穏な生活を思い出す暇があったら、少しでも今の自分の強さを磨け。さもないと俺のように後悔する人生を送るぞ」
「何かあったんですか?」玲奈は不思議そうに聞いた。
「今は話す必要がない。話すべく時に話す。質問はないか」
一瞬部屋に沈黙の時間が流れた。みな前の生活に戻れない覚悟をし、昔を思い出しているのだろう。
「なければ最後に重要な事を一つ決めて、この会議を終わりとする」
先生は続けていった。
「水飴翔太のニックネームをつけるぞ!!」
「はい!!」立石と玲奈は元気よく返事をした。翔太だけが口をぽかんと開けた。
「えっ!?」