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第百五十三話 恐怖のキマイラ部屋
ウルフはゆっくりと辺りを見回した。
ドーム状の部屋はとても静かだった。キマイラがいた気配はするが、実物はいない。そう安堵した瞬間、天井に黒い影が多数吊り下がっているのが見えた。
「誰・・・」
言い終わる前に黒い影は急降下で落下してきた。それは一つや二つではなく、何十体も雨の矢が降るようにウルフ達を襲った。
「みんな端っこへ避難や!」
落下音で全員に聞こえたか分からないが、隕石を避けるようにウルフは壁まで走り、へばり付いた。
そして冷静に観察すると黒い影の正体が分かってきた。
「黒騎士か? ・・・にしても頭に蛸壺被っとるで」
異様な光景に各々はその場で立ち竦んだ。蛸壺騎士は何かの合図を待っているのか動かなかった。いやむしろ生きているか分からない。
「嫌な予感しかしないわ」
アイは「極刑の間」で拾った鉄パイプを片手に身構えた。騎士の身体はこちらへ向いていないが、蛸壺の隠された目がこちらに向いているように感じた。
「ビービービー」
そして警報が部屋中に響いた。




