第十二話 入部テスト
先生はお茶を入れ終え、席に着くとさっきとは違う神妙な顔で言った。
「本当に待たせたな。本題へ行くぞ」
翔太はごくりと唾を飲み込む。
「水飴も知ってのとおり現在ヒーローの数が非常に減ってきている。悪の組織が強大になっている事もあるが、特殊な能力に開花するものがいなくてな。このままでは世界が危ない。報道されている一流のヒーローだけでは解決できないんだ。そこで三流、四流以下の我々の存在が期待されている」
「四流以下か…」
「今の我々ではそうだ。ヒーローにはランクで評価されており、SSランクからGランクまである。Cランク以上が一流のヒーローであり、それ以下はランクによってヒーロー依頼の仕事が分別される。昨日の火災現場はGランク任務だよな?」
「そうです」
「普通は任務の数をこなして、ランクを上げていくのだが、ヒーローが少なくなっているため、そうはいかなくなったんだよ。我々の立ち位置も時代とともに変わって来ている」
「そうなんですね」翔太は少し目を輝かせて言った。
「そこで裏ヒーロー部でヒーローを集め、活動し、チームで大きい依頼をこなし、レベルアップを図って行こうとしている。水飴お前も含めてな…」
翔太は心の奥底から熱く燃え上がる何かを感じる。僕も認められる存在に変われるチャンスかもしれない。
時寺先生は話を続ける。
「ただ一つ課題があってな。今すぐ入部させたいんだが、裏ヒーロー部で活動するにあたり決まり事があって…。入部テストを合格しないと部に入れないんだよ」
「へっ!?」翔太は口をぽかんと開けた。
「入部テストって何するんですか?」
時寺先生は頭を掻きまわしながら話す。
「そうだなー。この件については俺も校長先生に反論をしているのだが、承諾をもらえなくてな。今回の入部テストの課題は『偵察』だ」
「はっ!?」翔太は再度口をぽかんと開けた。