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孤独なヒーロー達  作者: 林 秀明
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第百四話 ミッドナイトカーニバル

曇りがかった空にお月さまが半分顔を出している。西軽井沢の奥地に立つ古城は周りの森を飲み込むような明るさで光を放っている。古城の窓には人々が忙しく右往左往する姿が映し出されている。


「よっしゃぁ。分身出来たで」


右を見ると鏡に映し出された自分が同じような格好で走っていた。


「それでは皆さんはもう少し早く走って左へと進んで行って下さい。分身は少し立ち止まって敵を引きつけてから右へと走ってください」


キンジョーの指示のもと一同は左へと進み、赤く敷かれたカーペットの上を豪快に駈け出した。


「あとは分身たちが車へと乗り込み、ここから脱出するカーレースとなります。もちろん車も分身です。途中でクラッシュを起こし、爆発を起こす。我々は無残にも死んだと思わせ、その隙にスパイダーを倒すという作戦です」


「よく考えたね」マゴは感心の意を示す。


「敵のボスを倒してから褒めて下さいね。順調に思えますが場内にはまだ難所があります。特に三人の獅子騎士団がスパイダーの本館、門前に立ちふさがっています。トーゴ、スナイパル、特にリーダーのヒースには……」


「そいつらはもう倒したぞ」ウルフはにたっと笑い言った。


「えっ!?」裏返った声でキンジョーは返答した。「どうやって?」


「まず俺の能力で時間を止め、奴らを縄で縛り上げた。その後ラッシュが便器の絵を描き、奴らに便器の上に座らせる。その後、ショーの能力でムーブ・ザ・ベンチさ」


「どこへ飛ばしたんですか?」


「長野県北部の某刑務所だよ。脱出不可能と言われる場所のトイレに三人とも……」


「凄いですね。強敵三人をいとも簡単に……軍師顔負けです」


「互い様だ、キンジョー。俺たちはこのままスパイダーの部屋へ突っ込む!! そっちの対応はまかせたぞ!」


「ラジャー!!」



キンジョーは電話を切り、トイレから出た。通路へと出るとホール内から何やら賑やかなメロディーが流れてくる。騒動がより激しくなったと思い駆け付けると、ホール内の客人達は楽しそうにダンスを踊ったり、立食パーティーを催していた。一部では大道芸をしている人もおり、仮面舞踏会というよりもカーニバルの雰囲気になっている。


「キンジョーさん、遅かったですね。Msクラリアがお待ちかねですよ」


例の天狗を被った仮面の男二人が腕組みを解き、ゆっくりと近付いてきた。


「もうそんな時間か遅くなってすまない」


「例の作戦の件で……最終打ち合わせをと……」


「あぁ……分かっている」


キンジョーはゆっくりとホールの右奥の部屋へと消えて行った。客人達は先の騒動を忘れ、より一層今を楽しんでいた。

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