第百二話 スパイダーの行方②
「じゃあ誰なんや?」ラッシュは戸惑いを隠せず、周りに注意を払った。
「わからないよ。ただ言えるのは彼には悪意はない。それだけよ」アイの眼は黒色へと普段に戻っていた。
「……これだけの幅広い老若男女に会える事はめったにありません。こういったパーティーを催す事ができ、私は幸せ者です。神の恵みがあってここに立っています。ですが、まだ私は不安でいっぱいです……」
高倉は嬉しさの表情から憂いの表情へと変えた。
「その幸せな私を邪魔する者がいるというのもまた事実です。今日の舞踏会を壊しに来る者がいるというお告げを神から頂きました」
一瞬会場がざわつくとともにショー達の胸に緊張が走った。手に汗が握り、鼓動が速く、空気が薄くなっていく気がする。
「でも大丈夫です。私には誰が首謀者かもう分かっています。首謀者は奢れる超能力を駆使し、自らを超人と崇めるナルシストです。仮面の色は人の心を反映します。首謀者の仮面の色はより赤く、敵意を表した色となっていることでしょう」
ショー達は互いに仮面を取り合い、色を確認し合った。暗闇に移る穏やかな青色の光はゆっくりと泳いでいるようにさえ見える。
「良かった……」
ショー達はほっと安堵の表情をしていると、突如ホール内の電気が一気に付いた。目が眩しく脳内に一筋の電気が流れる。
ゆっくりと周りを見渡すと自分たちを中心に、客人達が円を描いていた。いつしか園児もいなくなっている。
「なっ!! これは一体!?」
「ふふん、騙されましたね。赤く色が映るというのは嘘ですよ。仮面を触るその行動に我々は注目していたんですよ。能力者なら反応するのが自然ですからね」
「騙したな」
ウルフが飛びかかる前にショーとマゴはリボン達と一緒に玄関目掛けて走り出した。が、警備員が門を堅く閉ざし出れる状態ではない。
「こっちや!! 早く!!」
ラッシュは人盛りを避け、左奥の通路へと皆を呼び掛けた。ショー達は一瞬戸惑ったがすぐにラッシュの元へと駆け寄る。
「追いなさい。首謀者を裁くのです」
高倉の呼び声と共に各扉から騎士の恰好をした警備員が現れ、ショー達を追いかけた。客人達は震えながらその場に座り込み、逃げるような目でじっとその攻防を眺めるしかなかった。
天狗の仮面二人とキンジョーもまたその場から消えていた。




