第5話 ~戦闘開始2日目~
今の時計の時刻は、午前9:30だ。
すると、まばゆい光が目を覆った。
気が付くと、船の中ではなく、明らかに現代ではない街並みにいた。
どこからともなく、
「みなさ~ん、おはようございま~す
今の人数は、2456人で~す
(・・・あれから300人以上の人が死んでしまったのか・・・
ちょっと、ヤバくね?)
「がんばってくださいね~♥」
というアナウンスが流れた。
今日のアナウンスの声、少し違う感じだったな・・・
今はそんなことはどうでもいい。
それ以前に問題なことがある。
なんでわたしの格好は、花魁なの!?
レンレンやリツさんは、普通の着物なのに!
運営による嫌がらせなの!?
動きにくいじゃない!
これで闘えっていうの!?
「さゆ、似合っているぞ」
「さゆり、とても似合ってる、綺麗」
と、二人は言ってくれるが、どうも動きにくくて・・・
「こんなところにすっげー色っぽい花魁がいるぜ!」
「マジ抱いてみてー!」
という声がしたので、振り返ると、着物を着た犯罪者がいた。
包丁に血がべったりと付いていた。
(犯罪者もバージョン仕様なのかよ・・・)
「あの首筋いいよなー!」
「傷つけたら、どんな風になるんだろうなぁ・・・」
「綺麗な赤い血がでてくるんだろうなぁ・・・」
・・・さっきからいやらしい目で、わたしのことを見ている。
なんか・・・イラッとした。
イラッとするどころか、怒りがこみあげてくる。
わたしは番傘を構えた。
「ちょっと、体借りるぞ」
という声がした。
わたしのもう一つの人格なんだろう。
「・・・死んでゆけ」
と、いつもより低い声でいい、
番傘で、あの男たちを殺した。
「・・・てめーらみたいなクズに身を委ねるほど、あたしの体は安くないよ、
地獄で後悔するんだな」
と言った後、元の人格に戻った。
そしてわたしは、
「・・・やってしもたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
と、叫んだ。
レンレンはともかく、リツさんには・・・
引くだろうな・・・
「さゆり、かっこよかった、あと、さゆりって、関西弁使ったよね?」
と言ってきた。
わたし・・・いや、あたしは、京都生まれ京都育ちやからな・・・
これからは、わたしじゃなくてあたしって言おう。
わたしって言うの、前から違和感があったしな・・・
あと、標準語も。
これからは、いつも通りでいこう。
「あたし、京都の人間で、小学校に上がる前に東京に来たんです」
と言った。
「みなさ~ん ごきげんよ~」
という声がしたので、振り返ると、
ライフル銃を持った女の人がいた。
今日のアナウンスの声に似てる・・・
てか、今日のアナウンスの人だろう・・・
「わたしたち、運営もあなたたちと闘うことになりました~♥
そーいうわけなんでぇ~
みなさん死んじゃってくださ~い^^」
と言った。
やっぱこっちのぶりっこ野郎の方がムカつくわ
てかお前が死ねよ
なんかイラついたから、
「あんま調子に乗んなよおばさん」
と、言い放った。
だって、なんかイラッとしたし。
ぶりっこの人の耳に入ったのか、
「誰ですか~? わたしのことおばさんって言った奴は
白状し、今なら誤れば、許してやらないことはないですよ~」
と言っていた。
言ったのはもちろんあたしだが、謝る必要性が全くない。
それに・・・
人の命を遊び道具にする奴なんてなおさら。
「あっ、すいませーん わたしが言いましたー」
と、棒読み口調で言い、片手を上げた。
さらにあたしは、
「確かにおばさんって言いましたが、あなたたちのような
人の命を粗末にする人に謝るつもりはありません」
と、きっぱり言い放った。
その人はガチギレしたのか、
「あんま調子に乗ってんじゃないわよ!
あなただって、わたしとあんまり歳変わらないとおもうけど!」
「あたしのこと、20代って思ってますよね?
こーみえてあたし、16ですけど?」
「え!? 16!? あんた名前は?
どうせここで死ぬんだから聞く意味ないよね~♥」
その言葉にイラッとしつつ、
「白銀さゆりですが、それが何か?」
といった。
その人は一瞬目を見開いて、
「あなたが白銀さゆりですか~♥
ボスは楽しみにしていましたよ~♥
あなたと闘えることを・・・龍さまは」
といった。
ボス? 闘う? 龍さま?
てかなんであたしの名前知ってんの?
ボス・・・龍さま・・・
やはり・・・あいつか
あいつがこんなクソなゲームの運営のトップか・・・
なんとなく察しはついていたんだが
てかあいつ、死んだんじゃねーのかよ・・・
だって警察につかまって、裁判で死刑になってさ・・・
あれは死んだと思わせるカモフラージュってことなのか?
まぁいいや・・・
あたしがこの手で殺すまでだ。
「このゲームは、龍さまを・・・わたしたちを楽しませるおもちゃなんですよ~♥」
と、その人は言った。
「・・・おもちゃですって? 人の命をおもちゃだなんて・・・
人間として最低なゴミクズ野郎ね・・・
制裁を与えてあげる、覚悟なさい」
「!? じゃあ~わたしを殺してみなさいです~♥」
「もともとそのつもりなんだけど?」
と言い、あたしは番傘を構えた。
向こうも、ライフル銃を構えた。
そして・・・あたしたちの殺し合いが始まった。
一瞬でも油断したら終わりだ。
絶対にこのゲームをすべて勝ち抜き、あいつを殺して、
元の世界に戻ってやる。