ニートみたいな私
猛スピードで社会が発展する。
疲れた私は、街をさまよっている内に、見知らぬ本屋に入っていた。
「その本を取って貰えるかしら?」私は古びた本屋で様々な知識に触れていた。
「なんだお前。小汚ぇ顔して良く人様に頼み事が出来るな!」滑稽な顔をしたオヤジが急に怒鳴りだした。
「酷くないですか? 私はあなたがそこに長い時間居座っていたせいで、取れない本があるから、頼んだだけなんですよ!」酷い馬力で私は怒った。
私の口から出た、勢いのあるツバが飛んでいく。それはマヨネーズを横において思い切り叩いたときの様な速度だった。
「汚ねぇ。なんて事しやがるんだよ」顔のパーツを真ん中に当てながらオヤジは怒り心頭。
「ふんっ!」私は右の鼻を指で潰し、左の鼻水を思い切り押し出した。
黄色い鼻水がオヤジの上唇につき、妙な光沢を産み出している。
「人の顔をなんと思ってやがる。まぁ仕方ないこの本を買ってやるよ」オヤジは本棚から、『秒速で治す風邪』と言う本を手に取り言ってきた。
「あんた何なの? 優しかったりイジワルだったり。精神が分裂しているじゃない」
「親切にしてやってるのになんて言い方しやがる。目に物みせてやる!」
オヤジは顔を真っ赤にして怒りながら、突然あぐらをかいた。
すると、室内の空気が一変し、さっきまでガタガタとうるさかったエアコンの音も消えた。
さっきまでビュンビュンと目障りに飛んでいたハエが空中で停止している。
「本当に目に物見せてくれたじゃない……」私は動揺しながらオヤジに言葉を放った。
「ねぇ、何とか言いなさいよ!」
だが、変事がない。
よくよく見ると、オヤジも赤い顔と怒りの表情を保ったまま動かなくなっている。
私以外の全てが止まっている。
あれから、どれだけの時間が経ったのだろうか。
私はこの文章を書きながらも、止まってしまった時間の中に存在している。