騒がしい朝
俺は早見蓮。
今日は、なんだか騒がしい…。
「おーーーい蓮っ!転入生が来るらしいぜっ!!しかもお前の隣にっっ!!」
「…はぁ?転入生?」
それは、朝の事…。
いきなり、ダチの淳に叫ばれた。
今日は5教科全部授業があったもんで、まじめに授業を受けようと登校したこの日。
俺のクラスに転入生が来るとの事だった。
しかも、俺の隣。
にしても、いつも淳のテンションは高いが今日はさらに高い…。
「…分かったから。何でそんなにテンション高ぇんだよ?」
「だって女子だぜ!?」
「……は?」
それがどうした。
女子ならそこらにもたーくさん居るだろう。
「ああ、そうか。そこらの女子だけじゃ満足できないってか」
軽口を叩いてみる。
すると、
「「「!!?」」」
「なっ…!?ちょ、蓮!!」
瞬間、周りの女子が淳の方を睨み、淳はあからさまに焦る。
おいおい、ばればれだろーが…。
「ち、ちげーよぉ女子のみなさん!俺はそーいう意味じゃな…」
「……ふぅん…??」
淳が必死に弁解しようとしたのを、睨んでいた女子の一人、理沙が遮った。
その目は、獲物を狙う猫のように鋭い。
「あんた、自分がそんなこと言える立場だとでも思ってんの?」
「え、あ…、いや…」
「ふぅん…?」
「ち、ちがっ…。っぎゃああああー!!」
「待てーーー!!」
一日び一度はある、この追いかけっこ。
すっかり名物になっている。
でも今日は俺が悪いな。悪い、淳…。
それと、これは俺の予測だけど。
理沙はたぶん……淳が好きなんだと思ってる。
サボりの多い俺でも分かるんだから、もちろんクラスの奴…いや、ほぼ学年全員が気づいてる…。
分かりやすいんだよなぁ、理沙の奴。
淳もだけどよ。
っとまぁ、紹介はここまでとして…、
「…んで、何だっけ?転入生?なんでそれくらいで騒いでんだよ」
俺はやっと本題に戻るため、適当にそこらの男子をつかまえて聞いてみた。
「ああ…、蓮が興味あるの珍しいな」
「いや…、あんまり淳が騒ぐからな」
「なんか、超美少女っていう噂だぜ?良かったな」
だから騒いでたのかアイツ…。似たようなもんじゃねぇか…。
まぁアイツらしいか。
「ふーん…。俺はあんま興味ねぇけどよ……」
「はははっ、蓮らしいな。俺は羨ましいぜ!お前が!」
「…そうかぁ?つか、結局お前も淳と同類かよ」
「おいっ。アイツと一緒にすんな」
と、馬鹿話をしながら席に戻ってゆく。
キーンコーン…
やっとチャイムらしい。
クラスでは、美少女(?)転入生の話しでもちきりだ。
そんなに騒ぐことではないと思うがな…。