御坊丸
目が覚めたら俺は転生していた。
まわりの話を聞く限り御坊丸と呼ばれていることから俺は織田信長の五男である織田勝長に転生してるとあたりをつけた。
良くも悪くも歴史上ぱっとしないが、実父織田信長や養父武田信玄に好かれていたようだから無能ではないと思われる。
確か最終的に織田家の家督を継げる権利は本能寺の変で戦死した織田信忠の次に高かった気がする。
諸説あるが遠山から武田信玄の猶子になってから織田勝長と武田勝長を名乗ることを許されたはずなのだ。
ぱっとしない人物でありるが両家に影響力を及ぼせる存在であるの間違いない。
何も出来ることもない幼子の際に、俺をこの時代に転生させた熱田大神の加護もあり神託を使い忍びの配下を得ていた。
俺が今現在配下にしている忍びは鳶加藤こと加藤段蔵である。
俺のチート能力の一つは熱田大神の名の下に夢を通じて1日一回神託をくだせることである。
子供の俺に出来ることは少ないが、史実の裏で暗躍して色々今後の準備をしているがそれは今は秘密である。
そうこう言ううちに俺は岩村城に行かされてその後史実通り甲斐に送られることとなる。
本来ならば岩村城を防衛することは難しいことではないのだが、史実の養父である武田信玄との接触とその配下との出会いの為に俺はあえて何もしなかった。
大体7歳くらいの俺だが、配下の段蔵に肉や野菜など栄養価の高い食べ物を幼い頃から手配させて食しており、高身長の遺伝子を持つ織田家の血もあり俺は同年代より頭ひとつ大きかった。
戦国一の美女のお市の方やその子のお茶々が美しすぎるのが後世に伝わるように織田家は美形のものが多く、幼い俺もその容姿は美形すぎるので衆道の噂がある武田信玄と会うのは恐ろしかったが上手く立ち回らなくてはならない。
何故なら歴史オタクでもあった俺は大好きな織田家や武田家を今世ではなんとか滅亡の歴史から救おうと決意しているからである。
躑躅ヶ崎館で武田信玄に謁見することになった俺はある手土産をもってその場に挑んだ。
「面をあげよ。儂が武田家当主武田信玄である」
「御坊丸で御座います。お館様」
「ほう、儂を目の前にして泣き出さぬとはな。家臣から聞いたが儂に願いたきことがあると聞いたがなんじゃ?織田家に帰りたいと言うのであればそれはかなわんぞ」
「親方様、私には神の声が聞こえます。必ずお役に立ちますので家臣団の末席にくわえていただきたいのと、願いを聞いてほしいのです」
武田信玄には熱田大神の加護で自身を優遇することが武田家の為になることを信じさせているのであとは行動あるのみである。
「ほう、まあ話は聞いてやる。だがその対価はなんとする?」
「はいこれをお納め下さい」
「むっこれは!?」
「神に教えていただいた金山の地図で御座います。武田家の繁栄に役立てると思います」
武田信玄は信託の件もあり目の前の御坊丸のことを最重要案件に考えていたが、もしこの話が本当ならその利益は計り知れない。
「あいわかった。配下の者に調べさせてこのことが事実であればそなたの願いを叶えよう。何が望みだ?」
「ありがたき幸せ。ならば若輩者の私に武田家より傅役として尊敬するかのお方をつけていただきたいのです」
武田信玄としては信託など看過できないことや、監視の意味も含めて信頼できる者を側に置きたいと思っていたのでその願いは渡りに船であり反対する理由は皆無だったが、他国の幼な子が尊敬するなどとな言う相手に関しては全く予想がつかなかった。
むしろ他国にまで名前が伝わっているのは大名である自身だと自負していたのでもしや儂の子にでもなりたいのかとかんぐったが、容姿端麗で神の声まで聞けるのであれば娘を娶らせ一族に取り込むのもありだと考えた。
今回の謁見では実現しないがそれが実際に実現してしまうことはまだ誰も知らない。
そして御坊丸は武田信玄に対してじっと目を見て腹から声を出して答える。
「山県三郎兵衛昌景様を私の傅役に望みます。日の本一の武田家の騎馬軍団の赤備えはそこに痺れる憧れます」
躑躅ヶ崎館はざわめきでつつまれるが名指しされた山県三郎兵衛昌景と武田信玄だけは目がすわっていた。
山県三郎兵衛昌景は武田四名臣の筆頭であるが兄である飯富虎昌や文武両道の最高の後継者武田義信を殺す原因になった者ということもあり権力は誰よりもあるが家中で人気がない人物だったからである。
「山県!」
「ハッ」
「対価はどうでも良い。今すぐ御坊丸の傅役としてつかえよ」
「ハッ、お館様のお心のままに」
こうして俺は山県昌景を傅役として得たのであった。




