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『魔力アレルギー』の病弱令嬢は『魔力なし』の辺境伯爵に、心も体も健やかに愛し抜かれました  作者: 藤崎まみ


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評価、ブクマ、リアクションありがとうございます。


ヴォルフラムの冬の間の仕事は、兵士たちと冬の森の魔物の間引き、主に領内の人間が冬を越せるか管理すること、街の必要最低限の雪かきや物資補給などに動き回ることなどだった。


この日も雪が弱くなったのを見計らって、森に向かったり街へ物資を運んだりと忙しく動いていた。


ステラは主に領地経営を学んでいる最中だった。


他にも屋敷の使用人の教育やあまりアイゼンベルクには来ないが、客人が来た時の部屋のセッティングやおもてなしなど女主人としての役割があった。


春になったら、ステラの二人の兄が来ることが決定していたので、絶賛メイドたちを鍛え中でもあった。


伊達に侯爵家で生まれ育っていないステラは、場数はないがしっかりとマナーを叩き込まれていた。

食事の席や出迎えの時のメイドたちの所作が少し気になっていた。


もちろん皆よく働いてくれるいい使用人たちばかりなのだが、公式な場での緊張感というのは身に付けるのは難しい。


メイドたちからすれば、自ら身につけなければならない所作をステラ自ら教われるのは光栄なことだった。

空のお皿や水を入れたグラスなどを運ぶ練習を何度かしてきた。



「失礼します」

「ありがとう、アリス。…うん、随分良くなったわ。

ハイジ、モネも合格よ。みんなよく頑張ってくれてありがとう」

「「「ありがとうございます!」」」



あとは経験あるのみと言ったところだった。

普段の食事の給仕でも練習しようと皆で士気を高めていた。



「でも皆、私のお兄様で身内だもの。そこまで肩肘張らなくていいのよ?」

「いえいえ!侯爵家のご貴族ですから!辺境伯爵家としてきちんとおもてなしがしたいです…!」

「バルトさん、もう冬メニューの構想してるみたいで気合いが入ってるんですよ」



シェフのバルトがステラに兄達の好物を聞いて来た様子を思い出して、表情を緩めるステラ。

まだ春は遠く、空は暗い色の分厚い雪雲が浮かんでいた。


風も出てきているのか、窓枠がガタガタと揺れている。


屋敷内もなるべく暖炉の火を強めているが肌寒くウールのブランケットを肩にかけていても、底冷えする寒さだった。


メイドが寒そうにしているステラに、暖かい飲み物を用意しに行ってくれた。

寒さとの戦いが厳しくなるアイゼンベルクでは、魔石の消費もかなり進んでいた。


庭師のヨルグが屋敷の建物の点検や魔道具の点検を行ってくれていた。

パンパンと肩に乗った雪を玄関で払って、かじかんだ手を暖炉で暖めるヨルグ。



「ステラ様、外が吹雪いてきましたよ」

「そう…ヴォルフラム様もそろそろお帰りかしら。

…ヨルグもつらら落としや屋敷の点検ありがとう」

「いえいえ」



ベルシュタインから送られてきていた、“魔石電池”はまだまだ在庫はあり春まで余裕で持ちそうだった。

魔石コンロや灯りの魔道具の魔石を交換してくれていた。


ステラが外の様子を見ようと窓に近付くと、床に小さな石が転がっていた。灯りの反射でキラリと煌く()()を右手で拾い上げるステラ。



指先にズキリと鋭い痛みが走った。

次の瞬間まるで高熱の炭でも触ってしまったかのような熱さがステラの指先を焼く。



「あっ…!…熱っ!」



ころりと小さな魔石が床に転がった。



「ステラ様…?あ!それ魔石です…!

すみません、俺が落としたばかりに…」



ステラが右手の指先を見ると、見る見る赤く腫れ上がり水膨れのような発疹が出ていた。

慌てて駆け寄ってきたヨルグが、ステラの手を見て青ざめる。



「大変だ!…誰か!」

「私が不注意だったの…。ヨルグは気にしないで」



ヨルグの大声にメイド達が駆け寄ってくる。

慌てて手当されながら、ステラはすっかり自分が健康になった気でいたが、『魔力アレルギー』が完治したわけではない事を自覚していた。




***



ヴォルフラムが街へ物資の補給から帰って来て、ステラの右手の包帯を見て、ぎょっとしていた。


控えているメイドたちも心配そうな顔をしている。



「何があった…?」

「ヴォルフラム様おかえりなさい。私の不注意で…」



転がっていた魔石に素手で触れたところ見る見る腫れ上がってしまったことを報告する。

執事のヘクターがステラが触ってしまった魔石を避けておいたものを確認するヴォルフラム。


…それは何の変哲もない、普段からこの屋敷で使っている魔石だった。


居間のソファに座って安静を強いられているステラの隣に腰を下ろして、顔色を伺うヴォルフラム。



「症状は触れたところだけか?…体調はどうだ」

「普段通りで、吐き気や眩暈、頭痛もないです。

…少し触れただけで、指二本くらいで包帯が大袈裟に見えるだけですよ」

「痛むか?」



少しだけ、と答えるステラをぎゅっと抱き締めるヴォルフラム。


魔石を使った魔道具はポーションを飲んでいれば大丈夫だと思っていたが、こうした危険があるならば気をつけなければならない。



「ステラ。春になったらベルシュタイン家から、屋敷の魔道具すべて“魔石電池”を使ったものに替えよう」

「…ヴォルフラム様。そんな!私が手袋をつけたり、そもそも触れないように気をつけますから」

「街に行く時には手袋はしよう。

…ステラはこれからずっとこの屋敷に住むんだ。環境を整えるくらいしてやれる」



以前“魔石電池”に触れた時にはこんなことにならなかったことを思い出すステラ。

魔石に触れる機会が今までなかったため、これからは気をつけようと気を引き締めていた。


…またヴォルフラムや屋敷の皆に心配をかけてしまった。


しょんぼりとするステラに、ヴォルフラムはポンポンと頭を撫でた。



「ヴォルフラム様、ステラ様!…本当に申しわけありませんでした!」

「ヨルグ、気にすんな。軽症で済んでるし、魔石に触れるとこうなるって分かっただけいいさ」

「えぇ、いつも寒いのに外の点検ありがとう」



庭師のヨルグが逞しい身体を小さくして、頭を下げてる姿に、安心させる主人達。

『魔力アレルギー』がどんな症状を起こすのか、もっと良く把握するべきだった。


ヴォルフラムが屋敷の使用人に向けて口を開く。



「冬の間はどうにもできないから、魔石の取り扱いだけ気をつけてくれ。

…ステラは魔道具にもあまり手を触れないように」

「…はい。お手数おかけします」



ゆっくり頷く使用人の面々を一瞥した後、ヴォルフラムはそっとステラの腰を引き寄せた。



お読みいただきありがとうございます。


評価、ブクマ、リアクション励みになります

よろしくお願いします。



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