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朝、ステラは寝室のベッドの上で目を覚ました。
ギュッとシーツを握りしめた。
…体格差というものがあるのはわかっていたが、まさか物理的に容易に入らないという事態に、驚きを隠せなかった。
昨夜動揺しながらも、どうしても諦められないステラに少しだけ挑戦してくれたヴォルフラム。
痛みを感じて体を固くするステラに、ヴォルフラムは、ほら見た事かと隙間なく肌を重ね、お互いの熱を擦り合わせるように夜を明かした。
本懐は遂げられなかったが、とても気持ちよくて幸せだった。…ステラはヴォルフラムが、満足できたのかが気がかりだった。
ステラがそっと隣で眠るヴォルフラムの顔を見ようと寝返りを打つと、目を覚ましたのか大きな腕に抱き寄せられた。
「…ヴォルフラム様?」
「うーん…もう朝か…」
「昨夜は、その…素敵でした」
眠いのかヴォルフラムはステラの胸に顔を埋めて唸っている。ステラが閨教育で受けた、次の日の朝の挨拶をすると、他人行儀に感じたヴォルフラムは、悪戯心が湧いていた。
「…あんなの序の口だ。もっと良くしてやるから覚悟しとけよ」
「…やっぱり物足りないですか…?私上手くできなくて」
「違う違う。思い詰めるな…!
慣らしてくのも男の醍醐味だろ?俺たちはゆっくり行こう、な?」
思ってもみない反応をしたステラに、ガバリと顔を上げたヴォルフラム。
ステラの目を見て誤解を解こうとする。
慣れないステラに無体を強いるつもりはなかったし、満足していた。
そもそも、怯まずにヴォルフラムを受け入れたいという気持ちを伝えてくれただけで充分だった。
ステラはじっとヴォルフラムを見つめ返していたが、言葉に詰まって、次第にふよふよと目線を外す。
「ステラ?」
「はい…。その、なんだか…恥ずかしくて」
「…ハァ、そういうとこだぞ」
「わっ、…んん!」
昨夜全てを見せ合ったあとなのに、目が合って照れてしまうステラ。
…なんだこの可愛い奥さん、本当に俺のか?
おでこをつけて鼻を擦り合わせるヴォルフラム。
ステラは恥ずかしいのに、より近づいてくるヴォルフラムにドキドキしてギュッと目を瞑った。
ゆっくり重なる唇に、昨日何度もしたキスを思い出して反射的に受け入れると次第に深くなっていく。
堪らなくなったヴォルフラムの手が怪しく体を撫であげた。
朝日が差し込み出しだ部屋は明るくて、ステラは恥ずかしすぎてどうしたものかと焦っていると…。
ーコンコンッー
ノックの音が響いた。すぐには開けられることなく、扉の向こうで侍女のハンナが声をかけた。
「おはようございます。朝の支度の準備にまいりました」
「…すっげー、いいとこに来るな。いつも」
「ハンナは優秀な侍女なんですよ」
「クソ。…続きは夜にしとくか」
「えっ…!」
ステラがビクリと身構えたのを見て、ヴォルフラムは満足そうに笑って支度を始めた。
***
収穫祭が終われば、本格的に冬支度の準備が始まる。
一度寒波がやってくればあっという間に雪に閉ざされてしまう。
去年の冬切り倒した大木を街の近くの森の中に置いて乾燥させておいたもので、それを荒くれ者達と薪にする作業をしていた。
ヴォルフラムが大きな斧でスパンスパンと切りつけ、ある程度小さくした大木を領民が運んで、細かく切って木材にしたり、端切れを薪にしていく。
魔石を使った魔導ストーブもあるが、常にまかなうにはコスパが悪く調理以外の暖炉の火はほとんどの家が薪を使っていた。
魔物の肉や畜産の肉なども、加工して塩漬けや干し肉にしていく。冬の間の命を繋ぐ大事な食料源だった。
備蓄食材も大分溜まっていて、キッチンの地下にある大きな備蓄倉庫はパンパンになっていた。
不足の事態が起きた時、街の住民にも配れるようにするためだった。
「ヴォルフラム様…!お疲れ様です」
「はー、あっちー!水、ありがとう」
ステラには肌寒いくらいの夕方、力仕事を終えて帰ってきたヴォルフラムは汗だくだった。
ステラがレモン水を差し出すとガブガブと飲み干して、そのままシャワー室へ向かう。
どうやら森で大木を輪切りにしたあと、そのまま魔物の討伐に行っていたらしい。
ヴォルフラムはステラと進展できたことで、より一層仕事へのやる気に満ち溢れていた。
…大変なのは付き合わされる部下たちだった。
明け方まで飲み明かして二日酔いの男達をビシビシ奮い立たせていた。
ステラは確実に昨年までより多くの魔物を駆除して魔石を回収してくれているヴォルフラムの心遣いが有難かった。
「…ステラ様、気になさることはありませんよ」
「ヘクター。ヴォルフラム様は無理はなさっていないかしら」
「元より魔物退治が好きな方なのです。冬の間は魔物も減りますし体がなまるそうで、自ら薪作りに参加するお方です。春になれば繁殖して討伐隊を組むほどに毎年なりますから、今は気楽なものですよ」
執事のヘクターは主人のヴォルフラムが、ステラにいい所を見せようと張り切っていることに気づいていたが、上手い言い回して心配しているステラにフォローを送る。
人並外れた体力を持つヴォルフラムにとって、やる気に満ちてしまった行動はステラにとってはやり過ぎだった。
小さな頃から無茶をするヴォルフラムをよく知るヘクターからしてみれば、慣れたものだった。ステラが心配するのがわかっているヴォルフラムも怪我には最低限気にかけていたため、それだけで御の字だった。
「うちの父や兄も一度夢中になると、際限がないというか…。男の人って、こういうものなんでしょうか」
「ふふ、お母上が心配なさるのも無理はありませんな」
自分の母親がやたら父親や兄を心配して愚痴る姿が自分に重なって、少しだけ夫を持つ妻っぽさにステラは頬を染めていた。
…こうして家族になっていくのだろうか。
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