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『魔力アレルギー』の病弱令嬢は『魔力なし』の辺境伯爵に、心も体も健やかに愛し抜かれました  作者: 藤崎まみ


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評価、ブクマ、リアクションありがとうございます。


収穫祭当日。


早朝からパン、パンと景気よく打ち上げられた花火の音で目を覚ましたステラ。屋敷の人間もバタバタと忙しく動きまわっていた。


公的な場ではないが、一応領民の前に領主の妻として顔を出すことになったステラは、侍女ハンナと相談して軽くおめかししていた。


ヴォルフラムと朝食を軽く取りながら、今日の打ち合わせをする。



「朝から張り切りすぎても、また疲れが出るかもしれねぇし。昼過ぎて腹を空かせてから行こうか」

「もう多分大丈夫だと思いますけど、領民が主役のお祭りですものね。

…終わりは何時までなのですか?」

「多分、明日の朝まで飲み明かしてるだろうな。

…それこそ、この前行った串肉屋のおっちゃんとかな!」



ステラは昼過ぎから酔っ払っていた店主を思い出す。

ふふっと笑うステラは終始ご機嫌だった。



「ヴォルフラム様。私、アルコールは飲んでもいいって、先生から許可が出たんです。

…でもやっぱり味見程度にしておきます」

「飲み慣れてないなら、それが正解だな。

どんどん注がれるだろうから俺にくれればいい」

「ビールはお好きですか?」


他愛もない話をしながら時間を潰し、少しだけ領内のやりくりに手を付けたりしながら、昼時になってから収穫祭が行われている大広場へ向かった。


そこは初めてのお出かけで串焼きを食べたベンチのあった広場で、ステラが登れそうと指さしていた広葉樹にもガーランドなど装飾がされていた。


中心に大きなお鍋が四つも並べられ、コンロが置かれている。どうやら魔石を使った魔道具コンロのようだったが、しっかりポーションを飲んでいたため体調は大丈夫そうだった。


…前回の反省を活かし、腰につけたバッグにポーションも忍ばせて来ていた。


あちこちに臨時の出店が建ち並び、座って食べられるように椅子や机、寝そべって酒を酌み交わす男たちの下には布のマットも敷かれていた。



「随分沢山人がいるんですね…!」

「あぁ、今日だけはみんな仕事はお休みだからな。

店を出すところは交代で楽しんでるよ」



ステラは王都では人混みも苦手で、人から溢れる魔力に体が拒絶反応を起こしていた。ポーションの効果とアイゼンベルクの領民たちはそもそも高い魔力を持つ人は少なかった。

ステラは心置きなく楽しめそうで、ワクワクしていた。



「ヴォルフラム様!遅かったですね!もう始めてますよ!…ステラ様も良くぞこんな辺鄙なお祭りに!カンパーイ!」

「「「カンパーイ!」」」

「…どうせお前らは、朝起きた時から飲んでるだろ」



近くにいた白ビールの泡を口につけた屈強な男性たちが、ヴォルフラムに気づいて大声をあげる。既にできあっている酔っ払いたちは、何度目かになる乾杯で盛り上がっていた。


その声にヴォルフラムとステラに気づいた領民たちは、わらわらと集まり出す。



「ステラ様!…なんだか前見た時よりふっくらしてます?美人に拍車がかかってますね!」

「元気そうでよかった…!そうだ、あっちにおすすめのラムの串焼きがあるんです」

「まずはビールビール!乾杯しましょ!」



「お前ら落ち着けって…!」

「ふふ、こんにちは。私も今日はゆっくり楽しませていただきます」



ステラがスッと淑女の礼を取るのを見て、その洗練された仕草に、本当にお嬢様なんだと領民はつい口を噤んで見とれていた。


しかし顔をあげるとヴォルフラムの手を取って、グイグイと引っ張るステラ。



「ヴォルフラム様!

ラムの串焼き、食べたいです!行きましょう!」

「お、おう。そんなにはしゃぐとすっ転ぶぞ…!」

「じゃがバターはどこですかね?」

「ステラ…!」



キョロキョロと辺りを見回して、ヴォルフラムを急かすステラの無邪気な姿に領民たちは顔を見合せ、庶民的な一面にソワソワとしていた。




***




一通り出店を回ると、ステラとヴォルフラムの両腕に沢山の料理やお菓子の袋を持たされ、暖かいものから食べて余ったら持ち帰ろうと相談しながら、広場の一角の席に座っていた。


すぐに白ビールの入ったジョッキが運ばれてきて、持ってきてくれた子に頭を下げる。二人はそっと乾杯した。



「乾杯!」

「乾杯、いただきます」



白ビールは苦味が少なく、バナナやバニラのような甘いフルーティな香りが特徴のビールで、きめ細やかな白い泡にステラはそっと口をつけた。


お酒に慣れていないステラでも飲みやすく、ゴクリと喉に流し込む。


ステラ念願のじゃがバターは、蒸したてほこほこでバターはもちろん、とろけるチーズがかけてあった。

伸びるチーズも濃厚でホクホクのじゃがいもと食べれば、一流シェフも唸るだろうと思うくらい美味しかった。



「美味しい…!」

「そりゃよかったな。好きなだけ食べよう。

でもメインは夜の炊き出しだから、腹空けといてくれ」



広場の反対側で生演奏されている、リュートやアコーディオンの音が聞こえてくる。音楽に合わせて愉快に体を揺らしたり、手を取り合って踊る人々を、同じ場所で見ているだけで心が踊った。



「ヴォルフラム様ー!いいところに!

少しばかり手を貸して貰えませんかね?重たくって」

「いいけどよ、領主を顎で使うなよなぁ!

…ステラ、ちょっと行ってきていいか?」

「勿論です、ここに居ますね」



ヴォルフラムは、ステラがゆっくり楽しんでいる間に殆どの食べ物を平らげ、ゴクゴクと豪快にビールを数杯飲んでいた。

大きな体で腕っ節もあるヴォルフラムは頼りになるのだろうと、ゆっくり頷く。


ヴォルフラムがステラから離れたタイミングを街の女達は見逃さなかった。



「ステラ様、お口に合いますか?芋がお好きって聞いて、芋餅持ってきました」

「フルーツを絞って作ったジュースもあるんですよ、ビールもいいけど良かったら飲んでください」


「まぁ、ありがとうございます!とても美味しいです」



ぐるりとステラの周りを囲って、持ってきた食事や飲み物を渡したり、お土産にどうぞと焼き菓子やドライフルーツを置いてあった袋に詰め込んでいく女性たち。



「私たちはヴォルフラム様に、助けられているんです。城壁のすぐ近くに魔物が住む辺境の地で安全に暮らしていけるのは、ヴォルフラム様の働きがとても大きくて…」

「いつお嫁さんが来てくれるかって、首を長くして待っていたんですよ」

「ヴォルフラム様、腕っ節はあるけど、女心とか分からないでしょ?大丈夫かしらって心配してたの」



あー、あの初夜の後放ったらかし事件!なんて随分前の話を掘り返す領民に、そんなことまで広まっているのかと、つい吹き出してしまうステラ。



「何度か街に降りてきてくれたときも、ステラ様の体が細くて顔色も真っ白で…。倒れないか心配してて…」

「今日は随分顔色がいいですね。

でもヴォルフラム様に無理させられてないです?」

「いくら旦那様でも無体を強いるようなら、怒っていいんですよ!」



街の女たちは、ステラが最近屋敷に籠りっきりでヨハン先生が何度も通って容態を診にいっているのを見ていた。


ヴォルフラムがステラに無体を強いて、体調を崩されたのではないか、そんな噂が広まっていた。


ステラは話の流れが、変わっていることに気づいてギョッとする。


ヴォルフラムは筋肉ダルマのような大男で、ステラは身長は平均的だが線の細い体つきだった。体格差のある夫婦はどうしても女側に負担がかかってしまう。


街で心配していても、屋敷にいるステラにいつ声かけようか悩んでいた。



「誤解です!私が元々体が弱かったので、ヴォルフラム様や屋敷の方にも随分良くしてもらってます…!」

「そう?ならいいんだけれど…」

「冬の間はもっと篭もりがちになるから、嫌な時は言いましょうね?」


「皆さんのように、体つきが女性らしいのが羨ましいです。

…ところで、女性のお尻はどうやったら大きくなるのでしょうか…?」



ところでも何もないのだが、ステラの前に集まる女性たちは健康的でがっしりしていて、華奢なステラと違って出るところは出て、体つきがしっかりしていた。


バーンと大きなお尻を持つマダム達に、ステラは気になりすぎて質問していた。


…白ビールでしっかり酔いが回っていた。




お読みいただきありがとうございます。


評価、ブクマ、リアクション励みになります

よろしくお願いします。



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