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以前熱を出した時にお世話になった、屋敷の近くの街医者ヨハン先生に来てもらった。
白い髭を蓄えた、年配の気のいいお爺さん先生で、地域の子供から大人まで彼の腕を信頼しているそうだ。
なんとステラの『魔力アレルギー』についての概要を王都から取り寄せて把握してくれていた。
そのため、拒絶反応が起きた時には通常の体調不良と変わらないため、対処できるだろうと心強い言葉を貰えた。
「奥様のご実家から送られてきた魔道具ですが、負荷試験の使用の順番も決められているようですな。
きっとなにかお考えがあるんでしょう」
「一番、ケトルが拒絶反応が出るだろうと予測しているそうです」
「魔道具の詳しい装置の内容は分かりかねますが…。
この屋敷内に設置された魔石を使った魔道具で、奥様の体調が崩れていないことを考えると…。
…やはり最新式魔道具に原因があるのでしょう」
ステラは王都で王家筆頭医官に診断されたときに、魔石を使った魔道具ならば抗アレルギーポーションで症状を抑えられるはずといわれていた。
最新式魔道具は、核に人の魔力を込め、中の装置で魔力を増幅させ効果を発揮させている。
父ルドルフは、少ない魔力しかもたない地域にも嵩張らない小型の魔道具を広めたいという考えがあった。
ステラの拒絶反応は、中の装置のどの部分が原因なのか突き止めたかった。
「私もベッドの中で、たまに研究成果を聞いていただけなので、そこまで詳しくはないのですが…。
一度目眩で転んで怪我をしてしまったときに、治癒魔法を受けたのですがその時もとくに体調が悪化したという記憶はないんです」
「治癒魔法はポーションで拒絶反応を凌げるかもしれませんね。それは朗報。
…一番危険視しているのならば、ポーションは飲んだまま負荷試験をしましょう」
ポーションを飲んでいても、輿入れの準備をしているとき王都では吐き気や目眩などがあったのをうっすら思い出すステラ。
もし何も反応が見られなかった時に、ポーションの服用をやめて負荷試験を行うこととなった。
街で開院しているヨハン先生を、常に屋敷に置いておくわけにはいかないため、午後の診察が終わった頃、屋敷に出向いて貰うことになった。
「ヨハン先生、よろしくお願いします」
「いえいえ。アイゼンベルクの領民は、奥様を歓迎しております。…美味しい夕食まで頂けるとなれば、断る理由などありませんとも」
ヘクターが滞りなく負荷試験が行えるように、ヨハン先生に食事を振る舞う手配をしてくれた。
屋敷中が協力してくれる中、ステラは何とか結果を残したいと気合を入れていた。
…正直吐き気のない快適な日々から、また寝込む生活がくるのは、嫌だったがそうも言っていられなかった。
***
ヴォルフラムが夕方帰還し、一緒にヨハン先生と夕食を取った。リラックスしていた方がいいだろうとの配慮で、ヨハン先生は居間で待機してくれている。
「全く、ヨハンの爺さん高齢のくせに余計なことばっか覚えてやがる…」
「ふふっ。私はもう少し、お話聞きたかったですのに」
「注射が嫌で屋敷中逃げ回った話なんて、聞かされて溜まるか…もう20年以上前の話だっつーの」
ヨハン先生はヘクターと、ヴォルフラムの幼少期の話で盛り上がっているようだった。
ステラは関心があり他にも聞きたがったが、嫌そうな顔をしたヴォルフラムに手を引かれて自室に戻ってきていた。
ヴォルフラムが例の試作品のケトルに、井戸水を入れて持ってきてくれた。
侍女のハンナが、せっかくだからとステラにハーブティーの茶葉を選ばせてくれる。
「ローズヒップ、エキナセア、エルダーフラワーを用意しました。ヴォルフラム様もお飲みになるなら、ローズヒップが飲みやすくておすすめでしょうか」
「ありがとう、そうするわ」
「…俺はお茶の善し悪しはわかんねぇから、ステラの好きなのにしていいんだぞ」
カチッとヴォルフラムがお湯を沸かすために机の上で、魔道具を起動させる。
ゴゴゴと軽い音を立てて水を沸騰させていく。
2人がけのソファに座るステラの隣にヴォルフラムは腰を下ろした。
あっという間にグツグツとお湯が煮えたぎる。
「おー、すげぇな。野営でも重宝しそうだ」
「魔石を使うと重くなるので、持ち運びが困りますね」
「…魔物がウヨウヨいる森で茶は飲まねぇけどな」
ものの数分で沸騰したお湯を茶葉の入ったガラスポットに、ハンナが注いでいく。
ローズヒップの真っ赤な色に染まる様子をステラはじっと観察していると、胸の当たりが少しだけムカムカしていた。
ヴォルフラムはそんなステラの様子をじっと見つめている。
「…ステラ、何か不調があったらすぐ言ってくれ」
「はい…、少しだけ眩暈が…」
「!ヨハン先生を呼んでまいります…!」
侍女のハンナが動いてくれるのを見てヴォルフラムが頷いて、そっとステラの肩を抱くと頭を胸に押し当てられた。
ステラが小さくため息をつく。
「…気持ち悪い」
「辛いな…。横になるか」
小さく頷いたステラを、なるべく揺らさないよう注意を払い、寝室へ向かう。
ステラはどこか懐かしい吐き気と目眩を堪えながら、ヴォルフラムの逞しい首にギュッと腕を回して目を閉じた。
ヴォルフラムは華奢なステラの身体を壊れないようにぎゅっと抱きしめ、まるで安心させるようにポンポンと背中を叩く。
「大丈夫だ。朝までずっと一緒にいる」
「はい…ヴォルフラム様」
…ステラはヴォルフラムの存在がすごく心強かった。
そっとベッドに降ろされて、横になると眩暈は収まるがじわじわと鈍い頭痛がし始めていた。
…本当に、魔道具の魔力に体が反応しているんだわ。
ステラは体調不良でしか、アレルギー症状を自覚できなかった。
すぐヨハン先生が駆けつけ診察をし、軽い拒絶反応だと判断。夜の分のポーションを服用した。
幸いすぐに症状は軽くなったが、副作用の眠気が襲ってきてステラは眠ってしまった。
ヴォルフラムは朝までステラに寄り添った。
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