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『魔力アレルギー』の病弱令嬢ですが、『魔力なし』の辺境伯様に嫁いだら、心も体も健やかに愛し抜かれることになりました。  作者: 藤崎まみ


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よろしくお願いします!1話だけ少し内容が暗いです。


王家主催のデビュタントパーティで、ベルシュタイン侯爵家の末娘ステラは、会場の隅で必死に目眩と吐き気をこらえていた。



「うぅ…」

「ステラ、無理するんじゃない…」



娘の顔が土色になっているのを見て、顔を青ざめる父ルドルフ・ベルシュタイン侯爵。

病弱な娘を心配してエスコートしに来たが、王家の挨拶の前に既にリタイア寸前の様子にハラハラと声をかける。


ステラは今年18歳になる。

デビュタント適正年齢のギリギリで最初で最後のチャンスだった。


何故ならステラは10歳の頃、流行病にかかり数日派手に高熱を出した。その後遺症なのか原因不明の頭痛、吐き気、目眩といった体調不良に臥せりがちになっていた。


もちろん比較的、体が楽な日もあったが特に人の多い所や王都内の施設などは出かけるだけで数日寝込むほどだった。

2人の兄と1人の姉の末っ子として生まれたステラは、ベルシュタイン家の病弱な末っ子として既に貴族内では有名だった。


家庭内ではみんなステラを気遣い、とても優しくしてくれていた。

『デビュタントも無理する必要はない、王家にも掛け合おう』父や母だけでなく、兄姉からもそう説得された。

…それでも貴族として生まれたからには、せめてもの儀式はこなしておきたかった。


やっと出てきて下さった王族の挨拶を、フラフラしながら、残りわずかな気力を掻き集めて背筋や伸ばして聞き入れる。


乾杯の音頭を最後に、ステラの意識は薄れた。



「ステラ!…しっかりしなさい!…誰か手を貸してくれ」



あぁ、お父様の心配する声が聞こえる。

無理に出てきて余計な苦労をかけてしまった。


…ステラは体の弱い自分が大嫌いだった。



***



次に目を覚ました時には、安堵の表情をした父親の顔と見慣れない部屋だった。

王家主催のデビュタントだったため、何かあった時のために采配されていた王家筆頭医官に診て頂けていた。



「…『魔力アレルギー』?」

「えぇ、恐らく。父上からざっとお聞きした今までの症状と現在の様子から見て間違いないかと。

食物アレルギーなどは聞いたことがあるかと思います」

「…この子の母も花粉のアレルギーがあります」



寝台に寝かされたステラと寄り添う父に、偉い医師直々に診断された病名は『魔力アレルギー』だった。


アレルギーは対象となるアレルゲンに触れたり、食べたり吸ったりして体内に入ると、免疫が敵だと判断して体が反応を起こす症状だ。


よくある物が食べ物であったり、木々の花粉などである。


重い風邪や流行病などにかかって、著しく免疫力が下がる場合に発症しやすいとされており、流行病の発熱から体質が変わってしまったのではないかと説明を受けた。



「会場には最先端の魔道具が多くあります。灯りや調理鍋類など…。

ましてや貴族のそうそうたる顔ぶれが集合しています。魔力に当てられてさぞ気分が悪いことでしょう。

…ステラ嬢にとって、毒ガスの充満する部屋に入るようなものです」

「娘は…!この症状を抑えることはできるのでしょうか」



ルドルフは毎年決まった季節に妻が花粉症の症状で悩んでいることを知っている。

体質とも言われてしまったが、なにか手立てはあるはずと縋るような目で見る。


ステラは重い頭で、原因が分かれば少しはマシになるのかと淡い期待を抱く。



「抗アレルギーポーションで日常生活は、今よりは通常通り送れるようになるかと。…ただ眠気が強くなるという、副作用があります」

「そうですか…!」

「…少しでも起き上がれるようになるなら、ありがたいです…」



ステラの日常は、本当に調子のいい時だけ庭先に出れるくらいであとはほぼ自室の寝台の上という生活だった。


明るい顔で父親と顔を見合わせるステラ。

…しかし、医師が続けたのはステラに現実はそこまで甘くないと突きつけるものだった。



「ステラ嬢は、王都での生活は厳しいかもしれません。」

「…そんな!何故ですか!?」

「発症者は王都に数人いるのですが、全員魔力の少ない平民ばかりでした。そのせいか自分の魔力に酔うような症状が多いのです」

「…と、いいますと」

「ステラ嬢はベルシュタイン家に恥じない魔力をお持ちです。自身の魔力にはアレルギー反応が出ていないと考えられます。…屋敷の中より、外や街中の方が症状が出ていましたね?」



医師の言葉にゆっくり頷くステラ。



「自身の魔力に似かよったご家族の魔力でも反応は少ないのだと思います」

「では、屋敷の魔道具もステラの魔力で発動させれば…」

「憶測ですが、アレルギー源に当たれば当たるだけ症状が酷くなることが多いのです。…もし自身の魔力に拒絶反応が起きた場合、最悪…死に至る可能性が高いです」



死という単語が出てきて、ルドルフは息を飲む。

ステラはどこか他人事のような気持ちになっていた。



「とどめを刺すようで、心苦しいのですが。医師として伝えなければならないことがもう一つあります」

「…はい、先生。教えてください」



ステラは死より怖いものがあるのだろうかと、先を促す。



「貴族は高い魔力を持つという特徴がありますね。

…つまり、高い魔力を保持する男性との間に子を宿す際、体が拒絶反応を起こすはずです。

万が一妊娠できたとしても、出産までは子も母体も持たないでしょう」

「…そんな…っ!」

「ステラ…!」



“世継ぎを残す”という貴族の女として生まれた責任すら果たせない。そう宣言されて、わっと泣き出すステラを、ルドルフはただ抱きしめることしか出来なかった。


ステラは早死しようとも、王都のどこかの家に嫁入りし子を産みたいと思っていた。

…せめて、今まで迷惑をかけてきた家族に胸を張れる人生を送りたかったのに、それすらできなかった。



お読みいただきありがとうございます。


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