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第3話 絶対切断

能力には、必ず反動がある。


 


それを最初に教えたのは、白いスーツの女だった。


 


「あなた、自覚してないでしょうけど」


彼女は俺の額に触れようとして――触れられなかった。


指先が、数センチ手前で止まる。


まるで、世界が拒絶しているように。


 


「常時発動型。無意識の切断。危険ね」


 


俺は息を吐く。


「俺は何もしてない」


「ええ。だから厄介なの」


 


黒コートの男――NOIR VEILの管理者、名を“クロウ”というらしい――がタブレットを操作する。


画面は真っ黒だ。


 


「監視網、都市カメラ、赤外線、ドローン。すべて対象をロスト」


 


金髪の青年、AURORAの“ルクス”が笑う。


 


「SNSにも映らない。配信に乗らない。君、マジで都市伝説だよ」


 


都市《NEXUS》。


三大勢力が互いに監視し、均衡を保つ実験都市。


 


・NOIR VEIL ― 記録を管理する闇

・COVENANT: ZERO ― 人生を初期化する再構築機関

・AURORA SYNDICATE ― 情報と光を操る世論支配層


 


均衡があるから戦争は起きない。


力が拮抗しているから崩れない。


 


その均衡の外側に、俺はいる。


 


「問題はな」


クロウが言う。


「お前を誰も“処理”できないことだ」


 


屋上の向かいビル。


 


爆ぜた。


 


衝撃波。


ガラスが砕ける。


 


「始まったか」


ルクスの目が細まる。


 


遠距離からの能力攻撃。


AURORAの実験部隊だ。


 


空気が圧縮され、刃のように俺へ迫る。


 


だが。


 


触れる前に。


 


空気の“意味”が切れた。


 


圧力が霧散する。


 


「……接触概念の分離」


白スーツの女――“セラ”が低く呟く。


 


「あなた、物理だけじゃない。因果そのものを断ってる」


 


俺の視界が揺れる。


 


膝が落ちる。


 


「……っ」


 


頭の奥が焼けるように痛む。


 


「反動が来たわね」


 


セラが静かに言う。


 


「切断は万能じゃない。あなたは“世界との接続”も薄くなる」


 


クロウが補足する。


 


「存在値がさらに下がる」


 


ルクスが笑うのをやめた。


 


「ゼロを下回ったらどうなる?」


 


誰も答えない。


 


遠くで、今度は黒い無人機が飛ぶ。


NOIR VEILの介入。


 


三勢力が同時に動いている。


 


均衡は、もうない。


 


「提案がある」


セラが俺を見る。


 


「あなたを奪い合うのは非効率。ならば――」


 


ドン、と屋上の床が裂ける。


 


今度は地下から。


 


COVENANTの強制初期化装置。


 


光の輪が俺を囲む。


 


“ゼロ地点へ強制転送”


 


だが。


 


光が触れた瞬間。


 


輪が分解された。


 


転送という“接続”が断たれた。


 


静寂。


 


三人が理解する。


 


俺は利用もできない。


 


封印もできない。


 


「……均衡の外」


クロウが呟く。


 


「違う」


俺は立ち上がる。


 


頭痛が止まらない。


 


だが、はっきり分かった。


 


俺は均衡を壊す存在じゃない。


 


均衡そのものを“無意味化”する存在だ。


 


その瞬間。


 


三人の端末が同時に鳴る。


 


緊急コード。


 


“第三勢力、未確認反応”


 


都市の地下深部。


 


三勢力のどこにも属さない反応。


 


均衡の外側に、もう一つ。


 


ルクスが低く呟く。


 


「……嘘だろ」


 


セラの顔色が変わる。


 


クロウが初めて焦りを見せた。


 


モニターに表示される一行。


 


――《Oblivion Protocol 起動》


 


忘却は、俺だけじゃない。


 


次回、第4話「黒の台帳」

最後までお読み頂きありがとうございました。

アイタタタ…持病の厨二病…

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