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第2話 三大勢力

世界から、俺の存在が削除された。


だが、完全に“ゼロ”になったわけじゃない。


俺を認識できる人間が、三人だけいた。


 


最初に現れたのは、黒いコートの男だった。


夜の屋上。

冷たい風の中、彼は当然のように俺の隣に立っていた。


「やっと見つけた。観測不能個体」


低い声。感情の揺れがない。


「……俺が、見えてるのか?」


「当然だ。俺は《NOIR VEIL》所属。記録外領域の管理者だ」


 


NOIR VEIL。


都市《NEXUS》の“裏記録”を管理する組織。


表の戸籍、データベース、監視カメラ、金融履歴。

それらとは別に存在する、“もう一冊の台帳”。


公式には存在しない、闇の記録。


社会的な死を与えることも、存在を捏造することも可能。


 


「だが、お前は載っていない」


男は淡々と言った。


「黒の台帳に、お前の名は存在しない」


 


存在しない。


管理できない。


それは、彼らにとって“脅威”だった。


 


「均衡を乱す存在は排除される。それが原則だ」


「……原則?」


 


屋上の扉が、音もなく開いた。


白いスーツの女が現れる。


 


「原則を決めているのは、あなた達だけじゃないわ」


 


彼女は微笑む。


だが目は笑っていない。


 


「《COVENANT: ZERO》」


黒コートの男が名を呼ぶ。


 


COVENANT: ZERO。


人生の“初期化”を担う組織。


記憶の消去。

戸籍の再構築。

過去の切断。


失敗した人間を“ゼロ地点”に戻す、裏社会の再出発機関。


 


「彼は消されたんじゃない」


白スーツの女は俺を見る。


「接続が切れている。完全に」


 


その瞬間、空気が歪んだ。


 


「へぇ。やっぱり本物か」


 


三人目。


金髪の青年がフェンスの上に座っていた。


いつの間に。


 


「《AURORA SYNDICATE》だよ。光の側の管理者」


 


AURORA SYNDICATE。


情報を拡散し、世論を操る組織。


暴露。炎上。株価操作。世論誘導。


都市の“光”を支配する者たち。


 


「俺らのネットワークにも、君の記録はない」


金髪は笑う。


「検索不能。映像に映らない。データに残らない。最高だ」


 


三大勢力。


裏記録。初期化。情報支配。


この都市は、その均衡で成り立っている。


 


そして俺は。


 


「均衡を壊す存在」


黒コートの男が言う。


 


その瞬間。


 


ドンッ、と屋上のコンクリートが弾けた。


狙撃。


 


「排除命令か」


黒コートが舌打ちする。


 


弾丸は、俺の額へ。


だが――


 


触れる直前、弾丸は“消えた”。


 


いや、違う。


 


“接続が断たれた”。


 


世界と、弾丸の関係が。


因果と、俺の関係が。


 


音もなく、弾は床に落ちた。


 


三人が同時に、俺を見る。


 


「……因果切断」


白スーツが呟く。


 


「能力名、確定だな」


金髪が笑う。


 


俺の中で、言葉が形になる。


 


《Absolute Detach》


 


あらゆる接続を断つ。


物理。情報。記録。能力。


すべてを“無関係”にする。


 


黒コートが一歩下がる。


 


「これは……均衡では抑えきれない」


 


遠くで、サイレンが鳴る。


 


都市が動き始めている。


 


三勢力が同時に、通信を受けた。


 


「総員警戒態勢」


「対象、観測不能個体」


「コードネーム――」


 


三人の視線が、俺に集まる。


 


「忘却の使徒」


 


その瞬間。


都市《NEXUS》の均衡が、軋んだ。


 


――三大勢力、臨戦態勢。


 


次回、第3話「絶対切断」

最後までお読み頂きありがとうございました。

キンハーが好きで多分色々影響受けてます。

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